2002 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌類(キノコ)における_D-アミノ酸の生理的役割の解明
Project/Area Number |
14760220
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 香川大学, 農学部, 助手 (90325324)
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Keywords | 担子菌 / _D-アミノ酸 / ラセマーゼ |
Research Abstract |
_D-アミノ酸は、近年、生物界において様々な生命現象に密接に関与することが次々と報告されて来ている。一方、担子菌類(キノコ)は子実体形成に代表されるような極めて興味深い生命現象を取るだけでなく、応用面からも非常に付加価値が高い将来性豊かな生物種であるである。そこで本研究では、担子菌類における_D-アミノ酸の生理的役割の解明を目的として、平成14年度は以下の2点について取り組んできた。 (1)担子菌類における遊離型_D-アラニンの分布の解析 担子菌の一種であるLentinus edodes(シイタケ)において遊離型_D-アラニンを検出したことから、遊離型_D-アラニンの生育段階および組織における分布について検討した。その結果、遊離型_D-アラニンはL. edodesの生育段階(菌糸体→成熟子実体)が進むにつれて増加する傾向が観察された。また、検出された遊離型_D-アラニンの子実体組織中(傘部および柄部)における分布を調べたところ、傘部より柄部においてより多くの遊離型_D-アラニンが存在しているという結果が得られた。 (2)担子菌由来アミノ酸ラセマーゼの精製およびその諸性質の解明 L. edodesにおいて検出された遊離型_D-アラニンの生合成経路の解明を目指し、本菌子実体よりアミノ酸ラセマーゼを、各種クロマトグラフィーを用いて精製し、その諸性質について検討した。その結果、本酵素は分子量86,000のホモダイマー構造を取る酵素であり、補酵素としてピリドキサール5'-リン酸を要求することが明かとなった。また、本酵素は_D-セリン(144%、_D-アラニンを100%としたときの相対活性)、_D-アラニン(100%)、_D-ホモセリン(17.1%)、_D-2-アミノ酪酸(5.6%)、_D-グルタミン酸(4.5%)および_D-アスパラギン(3.2%)のラセミ化を触媒することが明かとなった。
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