2002 Fiscal Year Annual Research Report
急性高体温時の動脈圧反射機能に対する暑熱下運動トレーニングの効果
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14770028
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山崎 文夫 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (80269050)
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Keywords | 動脈圧反射調節 / 暑熱順化 / 暑熱ストレス / 自律神経機能 / 皮膚血流調節 / 発汗調節 / 起立耐性 / 心拍調節 |
Research Abstract |
暑熱環境下では涼しい環境下に比べて、起立時に血圧の低下が起こりやすく、起立耐性は低下する。また暑熱下での起立耐性には個人差が大きい。動脈圧反射機能は起立時に動脈圧を正常な範囲内に維持するために必要不可欠な機能であり、起立耐性の決定要因の1つであると考えられている。これまでの研究において、心拍数(HR)の動脈圧反射感受性は高体温によって有意に変化しないことを明らかにした。しかし、データを個人別に詳細にみてみると、約20%の者が体温の上昇に伴って、圧反射感受性が低下する傾向が認められた。その圧反射感受性の低下は、暑熱下での起立性低血圧の発生のしやすさと関係すると推測される。そこで、平成14年度には、暑熱下で起立耐性のより低下しやすい者は、暑熱ストレス中にHRの動脈圧反射調節機能が損傷されるという仮説を検証するために、44名の健康な被験者を対象にして暑熱負荷中の動脈圧反射機能の変化を検討した。被験者は45分間の仰臥位および6分間の75°のヘッドアップティルト(HUT)中に水循環スーツを用いて全身が加温された。心拍数の動脈圧反射感受性は自然な血圧と心拍の変動からシークエンス法を用いて評価した。22名の被験者(高耐性群)はHUTテストに6分間耐えられたが、残りの22名の被験者(低耐性群)ではHUT中に失神前兆候が認められた(平均ティルト時間:195±19秒)。HRの動脈圧反射感受性は、加温によって高耐性群では変化しなかったが、低耐性群では有意に減少した。今年度の研究結果から、暑熱下での起立耐性が特に低下しやすいものは、加温中にHRの動脈圧反射機能が損なわれる傾向があることが示された。
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