平滑筋収縮に関するCa貯蔵ストアーの局在をめぐる懸案の解決;形態学的アプローチ

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14770032
• Research Institution: Gunma University
• Principal Investigator: 田中 秀幸 群馬大学, 医学部, 教務員 (70343085)
• Keywords: 平滑筋細胞 / Caストアー / カルレティクリン / カベオリン-1 / タリン / カベオラ密集領域 / デンスプラーク領域 / 共焦点レーザー顕微鏡

Research Abstract

1)ラット結腸平滑筋における共焦点レーザー顕微鏡3重染色観察によってCaストアーで機能していると予想されているCalreticulin(カルレティクリン)が、筋形質膜のカベオラ密集領域に局在していることが証明された。カルレティクリンがカベオラの標識タンパク質であるCaveolin(カベオリン)-1と共局在していることは報告されていたが、平滑筋形質膜に完全に限局していることを突き止めたことは新しい所見である。
2)筋収縮における形質膜連結部位の標識タンパク質であるTalin(タリン)とカルレティクリンが相補的局在を示していることも新しい所見である。平滑筋形質膜が機能分化していることは、まだ筆者のみが明確にしている為、他の形質膜関連タンパク質がタリンが局在するデンスプラーク領域と、カベオリン-1あるいはカルレティクリンが局在するカベオラ密集領域のどちらに選別されるかを突き止めるのも、今後の課題である。
3)さらに新しい所見として、チャネルタンパク質であるCa-ATPaseも平滑筋形質膜においてカベオリン-1あるいはカルレティクリンが局在するカベオラ密集領域に局在していた。平滑筋細胞におけるCaストアーの細胞構造的位置が細胞間質マトリクスに面することは他の組織細胞の所見とは大きく異なることから、平滑筋特有のCa取り込み機構が存在することが示唆される。今後、そのことを証明する為、筆者が開発したした光顕・電顕相関観察法を用い詳細に所見を統合して、報告・投稿する予定である。