2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた新しいpreconditioning誘導因子の解明
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14770035
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60305571)
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Keywords | Aldose reductase / Preconditioning / 心筋梗塞 / Reactive oxygen species |
Research Abstract |
Preconditioning (PC)は心筋梗塞の発症に先行して短時間の心虚血を経験することにより,後発する心筋梗塞の軽症化および予後の改善が認められる現象である.現在,種々の薬剤によるPC効果の誘導が認められ,その機序が明らかにされつつあるが,虚血により誘導されるPCと同程度の心保護効果を示すものは見出されていない.Aldose reductase (AR)はポリオール経路を構成している酵素であるが,グルコース以外にも諸種のアルデヒド体を還元し,特に心臓において脂質の過酸化で生じる4-hydroxynonenalの主要な解毒酵素として働くという実験報告がある.ARはreactive oxygen speciesやNOなどにより誘導されることが知られ,心臓において虚血ストレスに応答して発現動態が変化していることが推察されることから,PCの誘導にARが関与している可能性が考えられる.心筋特異的AR遺伝子ノックアウトマウスおよびヒトAR高発現トランスジェニックマウスを用いることによりPCにおけるARの役割を明らかにする.本年度はCre-loxP系を用いたAR遺伝子ノックアウトマウスの作製を行った.ARの活性部位を構成する第2,第3エクソンを含む1.7kbを標的部位とし,選別マーカーとしてneo耐性遺伝子を用いたloxPターゲッティングベクターをES細胞にトランスフェクトし,相同組換え体の分離に成功した.ES細胞を集合キメラ法によりマウス初期胚に導入し,キメラマウスを作製し.ES細胞由来の変異遺伝子が生殖系列に入ったマウスより変異遺伝子のヘテロ接合体を経てホモ接合体マウスを得た.現在,ホモ接合体マウスと組換え酵素Creを発現するマウスと交配し,得られたマウスのloxP配列ではさまれた標的部位が欠損しているか確認している.
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