2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた新しいpreconditioning誘導因子の解明
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14770035
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60305571)
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Keywords | アルドース還元酵素 / 虚血再灌流 / preconditioning / 心臓 / 遺伝子改変動物 |
Research Abstract |
1)Cre-loxP系を用いた心筋特異的aldose reductase (AR)遺伝子ノックアウトマウスの作製ARの活性部位を構成する第2,第3エクソンを含む1.7kbを標的部位とし,選別マーカーとしてneo耐性遺伝子を用いたloxPターゲッティングベクターをES細胞にトランスフェクトし,相同組換え体の分離に成功した.ES細胞を集合キメラ法によりマウス初期胚に導入し,キメラマウスを得た.ES細胞由来の変異遺伝子が生殖系列に入ったマウスより変異遺伝子のヘテロ接合体得る段階まで来ている. 2)PreconditioningにおけるARの関与 PreconditioningにおけるARの役割を明らかにするために,まず急性虚血再灌流障害におけるARの関与を検討した.マウス摘出心をランゲンドルフ法により灌流し30分間の全虚血後60分間の再灌流負荷を行った.心機能は圧トランスデューサーに連結したバルーンを左心室内に挿入することにより測定し,心筋細胞の傷害は灌流液中へのクレアチンキナーゼの漏出を指標とした.野生型マウスにおいてAR阻害剤の虚血再灌流障害に対する効果を検討したところ,心機能および心筋傷害が未処置群と比較し有意な改善作用が認められた.ARを高発現するトランスジェニックマウス(TG)では再灌流時の心機能および心筋細胞傷害が同腹のlittermateと比較して有意に増悪した.またTGで認められた増悪はAR阻害剤およびソルビトール脱水酵素阻害剤により有意に改善された.このことからARは急性の心虚血再灌流障害において増悪効果を有することが明らかとなった.現在Preconditioningを誘導したマウスの心臓におけるARの発現変化および阻害剤の効果について検討中である.
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