2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイドによる血管平滑筋NADPHオキシダーゼの活性化機構の解明
Project/Area Number |
14770036
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
勝山 真人 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60315934)
|
Keywords | NADPHオキシダーゼ / NOX1 / 血管平滑筋 / ミトコンドリア / ATF-1 |
Research Abstract |
NADPHオキシダーゼは血管組織における主要な活性酸素産生酵素である。申請者らはプロネタグランジン(PG)F_<2α>による血管平滑筋細胞の肥大には、NADPHオキシダーゼの触媒サブユニットのひとつであるNOX1の発現誘導とそれによって産生される活性酸素が必須であることを見出した。Diphenyleneiodonium (DPI)はNADPHオキシダーゼの阻害剤として用いられているが、申請者らはDPIがNOX1の発現誘導を抑制することを新たに見出した。ラット血管平滑筋細胞株A7r5において、DPIはPGF_<2α>、PDGF、血清、ホルボールエステル(TPA)によるNOX1の発現誘導をほぼ完全に抑制した。DPIがミトコンドリア呼吸鎖の複合体Iを阻害することから、ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤の影響を調べたところ、全ての阻害剤がPGF_<2α>やPDGFによるNOX1の発現誘導をほぼ完全に抑制した。PGF_<2α>はcAMP応答配列(CRE)依存的な転写を促進したが、この転写促進はミトコンドリアのFoF1-ATPaseの阻害剤のオリゴマイシンにより抑制された。PGF_<2α>はCRE依存的な転写に関与する転写因子ATF-1のリン酸化を引き起こしたが、このリン酸化はオリゴマイシンにより抑制された。RNA干渉法によりATF-1をノックダウンした細胞では、,PGF_<2α>、PDGF、血清、TPAによるNOX1の発現誘導がほとんど認められなかった。さらにATF-1を強制発現した細胞では、オリゴマイシンによるNOX1の発現誘導抑制が認められなかった。以上の結果、ATF-1は血管平滑筋細胞におけるNOX1の発現誘導に必須の転写因子であることが明らかとなった。ミトコンドリア呼吸鎖の阻害はATF-1のリン酸化を抑制することによりNOX1の発現誘導を抑制するものと考えられた。
|