2002 Fiscal Year Annual Research Report
浸潤型血管内皮細胞および定常型血管内皮細胞の特異的生理活性に関わる遺伝子の同定
Project/Area Number |
14770043
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上野 将也 金沢大学, がん研究所, 助手 (20334766)
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Keywords | 血管新生 |
Research Abstract |
血管は全身に血液を循環させることで各臓器に酸素を供給し、他方では老廃物の交換を行う「ライフライン」であるが、がん組織においても同様である。がん細胞は血管新生を促し「ライフライン」を確立することで増殖をくり返していく。従って腫瘍血管新生の抑制はがん細胞の増殖抑制に効果的であり国内外を問わず多くの研究室で血管新生機構の研究が行われている。他の研究者が採用している血管新生モデルは動物個体そのものを用いるが、申請者らは試験管内で血管新生を再現できる独自の培養系を確立した。この培養系では組織浸潤性を示す血管内皮細胞と、逆に浸潤性を示さない定常型血管内皮細胞が出現するが、前者が腫瘍血管新生時の血管内皮細胞に相当すると考えられている。本研究ではこの培養系にて出現する浸潤型および定常型血管内皮細胞を分離しそれぞれの細胞系譜に特異的に発現する遺伝子を同定する事が目的であり、最終目標は腫瘍血管新生機構の解明である。この計画においては2種類の細胞系譜を区別できる細胞表面マーカの同定が不可欠であり現在抗体の選定を行っている。細胞接着分子、受容体、タイトジャンクション形成分子、メタロプロテアーゼ等の抗体を用いて染色しセルソーターにより分離を試みているが、有用な抗体は見つかっていない。今後も継続して2種類の細胞系譜の染め分けができる抗体の検索を行うが、レーザーマイクロダイセクション法により細胞形態を指標にして分離することも試みる予定である。
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