2003 Fiscal Year Annual Research Report
浸潤型血管内皮細胞および定常型血管内皮細胞の特異的生理活性に関わる遺伝子の同定
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14770043
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上野 将也 金沢大学, がん研究所, 助手 (20334766)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 腫瘍血管新生 |
Research Abstract |
血管はすべての組織の形成、修復、ホメオスターシスに必要不可欠であるが、最近、固形腫瘍などの病態の悪化に血管新生が密接に関与していることが判明しており、血管新生を抑制する治療法の開発が臨床的に切望されている。血管新生では宿主の既存の血管を安定に保っている定常型血管内皮細胞が、病巣からの刺激により浸潤型血管内皮細胞になるが、この二種類の細胞の相違点について分子生物学的な解析はほとんど成されていなかった。本課題ではマウスの胎生9.5日胚からpara-aortic splanchnopleural mesoderm領域を造血支持細胞株と共培養することで上記の二種類の血管内皮細胞を分化誘導し、両細胞系譜間にて差次的な発現が見られる多数の遺伝子を同定することができた(投稿準備中)。血管が安定な構造を保持する為には、血管壁細胞が血管内皮細胞を裏打ちしていることが必要であり、この際、血管内皮細胞のTIE2が恒常的に活性化し続けることが必須である。申請者は本課題を発展させ、得られた遺伝子群から、TIE2受容体の活性化に依存して発現調節される遺伝子を選別し、Galectin-3(gal-3)と新規分子#e11を同定した。gal-3は動物性レクチンであり、シグナル伝達、細胞死、形態形成などを含む多彩な生命現象に関与するが、特に細胞間接着に関与することが知られており、内皮細胞と壁細胞の接着を誘導する実行分子の可能性がある。他方、#e11は酵母からヒトまで高度に保存された分子であり、酵母では分裂に必須であることが報告されており、内皮細胞の分裂制御に関与する可能性が高い。本課題の遂行により、血管新生の分子レベルでの解析につながる遺伝子の同定を行う事ができた。今後は二つの遺伝子の機能を詳細にすることにより、病的な血管新生を抑制する新規の制御法の開発に発展させたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakajima M: "Abnormal blood vessel development in mice lacking presenilin-1."Mech Dev. 120・6. 657-667 (2003)
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[Publications] Nobuhisa I: "Regulation of hematopoietic development in the aorta-gonad-mesonephros region mediated by Lnk adaptor protein."Mol Cell Biol. 23・23. 8486-8494 (2003)
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[Publications] Okita K: "Genomic organization and characterization of the mouse ELYS gene."Biochem Biophys Res Commun. 305・2. 327-332 (2003)
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[Publications] Takizawa M: "Requirement of gp130 signaling for the AGM hematopoiesis."Exp Hematol. 31・4. 283-289 (2003)
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[Publications] Kimura N: "Identification of a novel transcription factor, ELYS, expressed predominantly in mouse foetal haematopoietic tissues."Genes Cells. 7・4. 435-446 (2002)