2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14770071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 憲一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30283112)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 自己抗体 / 細菌 / アポトーシス / 胆管細胞 / ミトコンドリア抗体 / 分子相同性 / リポポリサッカライド |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)の肝内胆管破壊の分子機構として、PBCの自己抗体であるミトコンドリア抗体(AMA)と菌体成分誘導性の胆管細胞アポトーシスとの関連性について検討しており、本年度までに以下の成果を得た。 1.材料収集とヒト胆管細胞の樹立:本年度、原発性胆汁性肝硬変の血清(5例)と新鮮肝組織(3例)を新たに収集し、総計各々35例,14例を研究対象とした。そのうち、PBC 1例と転移性肝癌(非癌部正常肝を使用)1例の肝組織からヒト胆管上皮細胞株の樹立を試み、現在2世代目の状態。今後、不死化遺伝子(SV40)を導入し、樹立株を作成する予定。 2.AMAと菌体成分との交差反応性の検討:ウシ心筋ミトコンドリアを抗原としてウエスタンブロットを行い、収集した血清中AMAの主要対応抗原(PDC-E2,BCOADC-E2,OGDC-E2,PDC-E3 binding protein [E3BP])を免疫グロブリンクラス別に同定した。次に、P.acnes菌株(ATCC 6919,ATCC 11828)およびE.coli菌株(ATCC25922)の全抽出蛋白を抗原として、同様にウエスタンブロットを行ったところ、ウシ心筋ミトコンドリアを抗原としたパターンとは一致せず、P.acnesおよびE.coli菌由来のミトコンドリア成分の他、多数の蛋白成分と反応性を示し、AMAは菌体成分に対する自然抗体の一部である可能性が示唆されたが、菌種特異的な抗体でないことが示唆された。 3.菌体成分存在下における胆管細胞のサイトカイン発現の惹起とアポトーシス誘導:マウス胆管細胞培養株およびヒト胆管癌細胞培養株を用いて、細菌壁の主要成分であるリポポリサッカライド(LPS)やリポテイコ酸,またはP.acnes菌やE.coli菌の存在下における炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6およびそられの受容体)やアポトーシス関連因子(Fas, TRAF6など)の動態を検討し、グラム陰性菌(LPSおよびE.coli)に対する反応性を見出しているが、グラム陽性菌(LTA, P.acnes)に対する明らかな反応性は認めなかった。現在、菌体成分刺激群と非刺激群との間でmRNA発現の網羅的な比較をcDNAアレイにて検討する準備を進めており、また、アポトーシス誘導の至適条件を検討しているところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Harada K, Ozaki S, Sudo Y, Tsuneyama K, Ohta H, Nakanuma Y.: "Osteopontin is involved in the formation of epithelioid granuloma and bile duct injury in primary biliary cirrhosis"Pathol Int. 53(1). 8-17 (2003)
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[Publications] Harada K, Tsuneyama K, Yasoshima M, Kanemori Y, Ohta H, Masuda S, Onai N, Matsushima K, Nakanuma Y.: "Type1 and type2 memory T cells imblance shown by expression of intrahepatic chemokine receptors relates to pathogenesis of primary biliary cirrhosis"Hepatol Res. 24(3). 290-299 (2002)