2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14770104
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
笹栗 毅和 産業医科大学, 医学部, 講師 (70341493)
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Keywords | 動脈硬化 / ヒスタミン / 単球 / マクロファージ / LOX-1 / ヒスタミンレセプター / cAMP |
Research Abstract |
動脈硬化における粥腫の中心には変性LDL(低密度リポ蛋白)を貧食した多数のマクロファージの集簇が認められる.マクロファージの表面には変性LDLに対しての受容体,スカベンジャー受容体が存在し,この受容体の発現は動脈硬化の促進因子と考えられる.ヒスタミンがスカベンジャー受容体の1つであるLOX-1の発現に対してどのような役割を持つかを検討した. 1,培養細胞(ヒト単球性白血病cell lineであるTHP-1,及び人組織球性リンパ腫cell lineであるU937)を用いて,ヒスタミンによるLOX-1遺伝子の発現をノーザンブロッティング法で検討したところ,その発現増加をみた.また,cAMPを増加させるforkolinとBt2-cAMPによっても増加をみた. 2,THP-1のヒスタミンレセプター1〜4遺伝子の発現をノーザンブロッティング及びRT(reverse transcriptase)-PCRで検討したところ,まだマクロファージへ分化していない状態ではヒスタミンレセプター2の発現がヒスタミンレセプター1よりも優位であったが,マクロファージに分化した状態ではこれが逆転し,ヒスタミンレセプター1が優位な状態となった. 3,THP-1の単球状態とマクロファージ状態でのLOX-1遺伝子の発現は,前者で約2倍高かった. 4,ヒスタミンレセプター2では,受容体からcAMPを介してのシグナル伝達が確かめられている. 以上より,ヒスタミンは単球状態の細胞に対して,そのヒスタミンレセプター2の発現を介してLOX-1の発現を上昇させていると思われる.
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