2003 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染による獲得免疫の生成と維持の分子メカニズム
Project/Area Number |
14770107
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴江 一友 群馬大学, 医学部, 講師 (00333485)
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Keywords | immune memory / malaria vaccine / Plasmodium berghei XAT / adoptive transfer / adaptive immunity / profective immunity / Rag-2 knockout mouse / murine malaria |
Research Abstract |
群馬大学の脇・鈴木らは、1個の原虫接種でマウスに致死性を示すPlasmodium berghei強毒株NK65株に放射線照射を施し、弱毒株P.berghei XAT株を作製した。この原虫をマウスに多量に接種してもマウスは生存し、そのマウスには6ヶ月以上にわたって免疫記憶が成立することから、得られた弱毒株はまさにネズミにおける弱毒マラリアウクチン株である。この系では非常に安定した明白な実験結果が得られるので、マラリアの免疫研究に最も適している。 平成14年度より当該研究費によってマラリア感染防御を担当する免疫記憶紬胞の特定を目指してきた。一般に適応免疫を仲介している細胞にはT細胞とB細胞があるが、ネズミマラリアワクチン株XATで得られる免疫記憶がどの細胞群によるものなのかは不明であった。この問題について解析するために、本申請においては遺伝的にT、B細胞が欠損しているRag-2^<-/->マウスを用いた。まずRag-2^<-/->マウスを使用する実験に先立ち、野生型マウスに対して予めXAT株を投与した後に脾臓を除去すると、NK65株の感染を克服することが出来なかった。次に防御免疫が成立した野生型マウスから脾臓細胞を採取し、それをRag-2^<-/->マウスに細胞移入した後にNK65株を感染させると、コントロールと比較して長期間にわたって生存した。また同じ脾臓細胞を野生型マウスに移入した実験では、NK65の感染を完全に克服した。次に脾臓細胞中のどの細胞が防御免疫記憶を担当しているかを調べるため、(1)CD4陽性T細胞、(2)CD19陽性B細胞と(3)その残りの細胞分画を野生型マウスに移入すると、(1)はNK65の感染を完全に克服し、(2)は感染を克服することが出来なかった。また驚くことに(3)が感染を完全に克服した。以上のことから、防御免疫記憶を担当する細胞はCD4陽性T細胞であることが示唆された。また(3)の分画中に含まれる免疫記憶細胞はCD8陽性T細胞が強く示唆された。今後どのような分子によって防御免疫及び免疫記憶がになわれているのかについて、追究しているところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suzue K, Asai T, Takeuchi T, Koyasu S: "In vivo role in innate immunity of IFN-γ from antigen presenting cells."European Journal of Immunology. 33. 2666-2675 (2003)
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[Publications] 鈴江 一友: "Th1/Th2バランス決定と樹状細胞"Pharma Medica. 21, 別冊. 37-46 (2003)