2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウェストナイル脳炎媒介蚊の殺虫剤感受性調査と殺虫剤抵抗性の分子診断法確立
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14770113
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
葛西 真治 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (80332360)
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Keywords | ウエストナイル熱 / 殺虫剤抵抗性 / ピレスロイド剤 / ナトリウムチャネル / シトクロムP450 |
Research Abstract |
米国におけるウエストナイル熱の流行は2004年度も収まる気配がない。日本も依然として本ウイルス上陸の脅威にさらされている。そんな中で媒介昆虫として重要と思われるアカイエカ種群蚊について、殺虫剤感受性レベルを引き続き調査した。また、昨年度の研究で明らかになりつつある抵抗性機構についてさらに詳細なデータを蓄積した。 日本各地で採集したアカイエカとチカイエカのコロニーを使い,5種の殺虫剤に対する幼虫の殺虫剤感受性を調べた。殺虫剤感受性系統アカイエカ洞穴に関するLC_<99> X 100に相当するエトフェンプロックス(5.7ppm),テメフォス(1.1ppm),フェニトロチオン(3.3ppm),ならびに「99%羽化阻害濃度X 100」に相当するジフルベンズロン(0.92ppm),ピリプロキシフェン(0.22ppm)の濃度において生存率5%以上のコロニー数は,アカイエカ(総試験数37)ではそれぞれ19,1,0,3,0,また,チカイエカ(総試験数17)ではそれぞれ7,1,0,2,6であった。昨年度までの研究で、アカイエカ抵抗性要因の一つとして作用点分子であるナトリウムチャネルの構造変異(kdr)が予想された。そこで、感受性低下の度合いが比較的大きかった林試の森系をエトフェンプロックスで7世代室内淘汰し、殺虫剤感受性の変化を観察すると共に左kdrの原因と予想されたSer999頻度の推移を観測した。エトフェンプロックスに対する感受性は淘汰を重ねるごとに低下し、7世代後には1500倍もの抵抗性レベルを示した。一方、Ser999をホモにもつ個体頻度は淘汰開始時に0%であったのが、7世代後には98%を占めた。これにより、Ser999はPhe999同様にエトフェンプロックス感受性に大きく関わっていることが示された。
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