2002 Fiscal Year Annual Research Report
ライム病ボレリアポストゲノム戦略 -病原性遺伝子破棄による機能解析-
Project/Area Number |
14770125
|
Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
金田 一秀 静岡英和学院大学短期大学部, 食物学科, 助教授 (30342067)
|
Keywords | ライム病ボレリア / スピロヘータ / 病原遺伝子 / トランスポゾン |
Research Abstract |
ボレリア属スピロヘータにおいて、これまで大腸菌に見られるような形質転換、並びに遺伝子組替えは不可能だと考えられてきた。最近、ボレリアの病原性とボレリア内に存在するプラスミドの関係が指摘され、ある種のプラスミドが欠落すると病原性が低下する事が見いだされた。さらに、この病原性が低下(プラスミドが欠落)したボレリアではエレクトロポレーションによるプラスミドの導入ができるという報告がなされた。さらに、病原性に関与すると報告されたプラスミド内の特定の遺伝子が、プラスミドの複製・安定性に関与している事が報告された。現在までにボレリアの特定の遺伝子破壊が報告されつつあるが、トランスポゾンによるランダム破壊の方法はまだ確立されていない。これらの結果を踏まえて、申請者はボレリア内でランダムな遣伝子挿入破壊可能なトランスポゾンベクターの開発を試みている。これまでに、大腸菌やその他多くのグラム陰性菌で働くプロモータがボレリア内では働かない事が報告されている。そこで、Tn5トランスポゼースのプロモータをボレリア鞭毛遣伝子flab遺伝子のプロモータと置換したキメラトランスポゼースを作成した。同様に、薬剤マーカーとして、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子も同様にボレリア鞭毛遺伝子FlaB遺伝子のプロモータと置換したものを作製した。これら遺伝子を一つのベクター内に挿入し、ボレリア属スピロヘータで利用可能なランダム遺伝子破壊用トランスポゾンベクターの開発を試みている。ボレリアにおいて、導入したプラスミドの安定性、並びにトランスポゾンカセットの挿入の頻度を調べる。ライム病ボレリアの全ゲノム遺伝子配列が米国のTIGR遺伝研究所で報告されているので、本方法はライム病ボレリアの機能未知遺伝子の機能解析をする上で非常に有用であると期待している。
|