2002 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1複製機構におけるポリADP-リボース合成酵素の役割についての解析
Project/Area Number |
14770131
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
亀岡 正典 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60281838)
|
Keywords | ヒト免疫不全ウイルス / HIV / AIDS / ポリADP-リボース合成酵素 / PARP / Tat |
Research Abstract |
ポリADP-リボース合成酵素(PARP)のヒト免疫不全ウイルス(HIV)複製機構における役割について解析し、PARPの存在がHIV遺伝子発現を促進することを示唆する解析結果を得た。 1.PARPノックアウトマウス由来の胚性繊維芽細胞(PARP-/-細胞)とその対照細胞(PARP+/+細胞)を用いて、水泡性口内炎ウイルス(VSV)の外被糖タンパク質でシュードタイピングしたルシフェラーゼレポーターウイルス(pNL-Luc)の感染実験を行った。その結果、PARP-/-細胞へのHIV感染効率は、対照細胞に比べて著明に低下していることがわかった。 2.PARP-/-細胞におけるHIV-1 LTRレポーター遺伝子の発現は、対照細胞に比べて低かった。また、同様の傾向が、NF-κB依存的なレポーター遺伝子についても認められた。一方、AP1、CRE、GRE、HSE等に依存して発現するレポーター遺伝子では、両細胞間で発現量に有意な差は認められなかった。また、HIV-1 Tatによるウイルスの転写活性化を、同様のレポーター遺伝子を用いて解析した結果、Tat依存的なHIV-1転写活性化の程度がPARP-/-細胞で著明に低下していることがわかった。 3.脱アセチル化酵素阻害剤トリコスタチンA(TSA)を用いた解析により、PARP-/-細胞において低下しているLTRレポーター遺伝子の発現が、脱アセチル化反応の阻害により著明に回復することを示唆する解析結果を得た。また、抗アセチル化リジン抗体による免疫染色の結果、PARP-/-細胞におけるタンパク質アセチル化の程度は、PARP+/+細胞に比べて低いことがわかった。 現在、これらの解析結果を含む論文を作成し、投稿する準備を行っている。またPARPとアセチル化および脱アセチル化反応との関わりの詳細について、更に解析を進めている。
|