2002 Fiscal Year Annual Research Report
MuLVアクセサリー蛋白発現のメカニズムとウイルス播種の制御の解明
Project/Area Number |
14770133
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
藤澤 隆一 獨協医科大学, 医学部, 助手 (70319664)
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Keywords | MuLV / 糖鎖修飾Gag蛋白 / アクセサリー蛋白 / レトロウイルス / 感染受容体 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
2002年度は実験遂行に十分量のウイルスストックを作成し、ウイルス産生量を経時的に測定するアッセイ系をM. dunniマウス繊維芽細胞を用いて確立した。 この系を用いてマウス由来の様々な培養細胞株に神経病原性MuLV(KP)およびその糖鎖修飾Gag蛋白の発現能を失った変異体ウイルスを感染させ、両感染細胞のウイルス産生量を経時的に測定した。これまでマウス繊維芽細胞、リンパ球系由来の種々の細胞を用いたが、糖鎖修飾Gag蛋白によるウイルス増殖促進効果を認める細胞株を同定するに至っていない。現在、マウスのグリア細胞由来の細胞株を入手し、解析中である。 糖鎖修飾Gag蛋白の細胞内局在を蛍光抗体法により検討した。これまで糖鎖修飾Gag蛋白のによるウイルス増殖促進効果が生体内でのみ認められるため、慣例として用いられている線維芽細胞ではなく、ウイルスの生体内侵入の門戸となる上皮細胞を用いて検討することとした。マウス由来の上皮細胞株はほとんど無かったため、MuLV感染受容体mCAT1をGFP標識した融合蛋白をイヌ腎由来MDCK細胞及びヒト子宮頸ガン由来HeLa細胞に導入し、発現細胞を得た。ウイルス非感染時にはMuLV受容体mCAT1はbasolateral membraneに局在していた。ウイルスの感染・伝搬経路を解明する上で興味深い知見である。この細胞を神経病原性MuLV(KP)と糖鎖修飾Gag蛋白のN-末側のアミノ酸配列を変異させた弱毒ウイルス(KP41)に感染させたところ、KP感染細胞では糖鎖修飾Gag蛋白がApical側に、KP41感染細胞ではBasolateral側に局在していた。これは、ポストゴルジネットワークにおける蛋白輸送機構の違いを示唆している。現在、MuLV受容体mCAT1、および糖鎖修飾Gag蛋白の局在、細胞内輸送経路の違いがウイルス産生、播種に果たす役割を明らかにすべく各種輸送小胞、アダプター蛋白に対する抗体等を用いて比較検討中である。 以上の結果の一部は、日本ウイルス学会、The 2002 International Workshop on Retroviral Pathogenesisなどの学術集会でも報告した。
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