2002 Fiscal Year Annual Research Report
無作為化臨床試験における共変量の不均衡がログランク検定のサイズに与える影響
Project/Area Number |
14770172
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
絹川 直子 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (20260705)
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Keywords | サイズ / 折れ線回帰 / 無作為化臨床試験 / ログランク検定 / 不均衡 |
Research Abstract |
本研究は、例えば薬効を立証するための無作為化臨床試験において、群間での患者背景のばらつきの不均衡の程度を測る指標を考案し、その不均衡が統計解析のサイズに及ぼす影響をシミュレーションにより推定することを目的とする。 患者不均一性は、Coxの比例ハザードモデルλ(tlz)=λ_0(t)exp(β^Tz)で定義される予後指数β^Tz、すなわち対数相対ハザードの分布を用いて表わす。但し、zは共変量ベクトル、βは回帰係数ベクトル、β^Tはβの転置、λ_0(t)は時刻tでのbaseline hazard、λ(tlz)は共変量ベクトルzを与えたときの時刻tにおけるhazardである。 この方法を適応する実例として、肉眼的S_2あるいはS_3の胃癌治癒切除症例を対象に、共通の補助免疫化学療法に併用する抗癌剤をA群Tegafur、B群5-FU、C群Carmofurとした3つの治療法が生存時間に及ぼす治療効果を比較した無作為化臨床試験を検証する。漿膜面浸潤により層別化され3群に無作為に割り付けられた。解析対象は、A群227例、B群231例、C群222例である。簡単のためA、Cの2群で検証する。 予後因子に対する予後指数の非線形性のために生じうるバイアスを避けるために、「折れ線Coxモデル」により求めた折れ線関数の形の予後指数を用いると、この予後指数の全ての症例に対する分布のレンジは約5.2であり、各層でのレンジは3.2から4.0であった。層別を行なっても各層内にはかなりの不均一性を含んでいることが分かった。 さらに、H_1、H_0をそれぞれ治療群と対照群におけるexp(予後指数)の平均を表わすとする。群間の不均衡を表わす指数として、V=(H_1-H_0)/(H_1+H_0)と定義し、それを標準化したものをVQと表わすと、前述の臨床試験のVQは-1.674であった。 今後VQと層別ログランク検定のサイズとの関係を明らかにする。
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