2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん発症におけるホスホリパーゼDの役割に関する研究
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14770174
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新倉 礼子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60315421)
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Keywords | 乳がん / ホスホリパーゼD / MCF-7 / スクリーニング |
Research Abstract |
最終年度も引き続き、ヒト乳がん周辺脂肪組織および乳がん細胞系の株化細胞MCF-7、を用いてphospholipase D(PLD)酵素活性測定を行った。RI標識したリゾホスファチジルコリン(PC)を用いた酵素活性測定系により、本研究室において保持しているヒト乳がん周辺脂肪組織のPLD酵素活性測定を行った。腫瘍組織と同様にヒト乳がん周辺脂肪組織においてもPLD酵素活性の上昇がある可能性は、薄層クロマト上で微量ではあるが定性的に確認することができた.さらに研究の主眼であるPLDの乳がんスクリーニングへの応用の可能性を探るために、腫瘍組織周辺の脂肪組織において'も良性症例と悪性症例との酵素活性に差があるかどうかを検討したが、現在までに測定の終了した悪性腫瘍症例22症例と良性腫瘍2症例とについて液体シンチで定量解析を行ったところ両者に有意な差は見られなかった。PLDの酵素活性に個人差がかなりあることや、また現時点までに解析の終了した症例数も特に良性で少ないため、今後さらに検討が必要であると思われる。最後に、乳がん細胞系の株化細胞を用いた検討はPPDの乳ガン発症への役割の解析を行うにあたり組織を用いた検討に比べてより応用可能であると考えられたが、現在までにMCF-7でのPLD酵素発現が定性的に確認できていない。動物細胞や組織において、PLD活性は低くて検出が困難であるとされているため、実験手法の見直しを含めて、MCF-7以外の腫瘍株化細胞を用いた測定も考慮に入れて今後検討する必要がある。
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