2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児期における血清レプチン動態とその動脈硬化進展に影響を及ぼす要因の検討
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14770177
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40295811)
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Keywords | 小児期 / レプチン / 動脈硬化 / コホート研究 |
Research Abstract |
本年度は、兵庫県および和歌山県の某地区の高校に在籍する15〜18歳までの生徒を対象に、血清レプチンの測定を実施し、これまでの小・中学生における結果とあわせて、小児期から青年期にかけての血清レプチンの加齢変化について検討した。その結果、血清レプチンは身体発育の盛んな時期を迎える頃から、大きな男女差を伴って著しく変化し、その後は発育が停止する青年期に至るにつれて変化が援やかにみり、ほぼ一定のレベルを推移することが明らかになった。そして、このような加齢変化の全体像を明らかにしたうえで、生理的年齢の指標である身長の最大発育年齢や初経年齢を用いて、発育に伴う変化と生理的成熟のテンポの遅速による個人差をふまえた血清レプチンの年齢変化のパーセンタイル基準曲線を求めた。また、小児期における肥満関連疾患に対するレプチンの病態生理的意義を検証するために、血圧、糖・脂質代謝、自律神経機能などとの関係を高校生の結果を加えて再検討するとともに、肥満における皮下脂肪や内臓脂肪といった脂肪分布との関係、ならびに脈波伝播速度や動脈血圧波形からみた動脈血管壁の弾性に及ぼす影響について横断的検討を行った。その結果、血清レプチンは体脂肪率やBMIなどと強く相関し、肥満傾向のある者では高値を示した。さらに、中心性肥満の指標としてのウェスト/ヒップ比や簡易推定式により算出した内臓脂肪量とも関係を認めたが、皮下脂肪厚により強い相関を示すことが明らかになった。また、血清レプチンが高値を示す者では、総コレステロール、中性脂肪、空腹時血糖、インスリン、動脈硬化指数、HOMA指数などが高い値を示すとともに、血圧や脈波伝播速度、橈骨動脈で測定したAugmentation indexとの間にも関係が示された。さらに、これらの関係は、体脂肪率をマッチングして検討した場合も同様に認められたことから、血清レプチンが体脂肪量とは独立して動脈硬化危険因子に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)