2003 Fiscal Year Annual Research Report
小児期における血清レプチン動態とその動脈硬化進展に及ぼす影響の追跡研究による検証
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14770177
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40295811)
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Keywords | 小児期 / レプチン / 動脈硬化 / コホート研究 |
Research Abstract |
脂肪細胞から分泌されるレプチンは、摂食抑制と体熱産生増加作用をもつとともに、肥満に伴う種々の病態に係わる生理活性物質として注目されている。我々は昨年度までに、血清レプチン濃度が思春期の2次性徴に伴う身体組成や内分泌環境の変化に影響を受けることを明らかにしたうえで、身長の最大発育年齢や初経年齢を生理的年齢の指標として、思春期の性発育に伴う変化とその個人差を加味した血清レプチン濃度の年齢別パーセンタイル基準曲線を作成した。また、肥満に伴う各種疾患の発現に対するレプチンの病態生理的意義に関する検討として、皮下脂肪や内臓脂肪といった脂肪分布、あるいはインスリン抵抗性と血清レプチンとの関係、ならびに脈波伝播速度や動脈血圧波形などを指標として動脈硬化危険因子に及ぼす影響について横断的検討により明らかにしてきた。これらを踏まえ、本年度はさらに、1998年より追跡を行っている学齢期の児童・生徒からなるコホート集団のうち、観察開始時が中学1〜3年生であり、その後3年以上継続して追跡できた者287名を対象として、学齢期における血清レプチン濃度がその後の青年期にかけての血圧や血清脂質、糖代謝指標などの推移にどのように関わっているかについて縦断的に検討した。対象者の平均年齢は14.7歳、追跡期間の平均は4.1年であった。その結果、観察期間中に思春期の性発育に伴う変動以上に体脂肪率及び血漿インスリン濃度が増加する者では、観察開始以降の血圧上昇が大きく、性発育による変動の範囲内で変化した者に比べて有意に高値となった。また、血清レプチン濃度は体脂肪量とは独立に、血漿インスリン濃度に最も強い影響を与えていたことから、間接的に血圧上昇に関与することが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Miyai N et al.: "Serum leptin and cardiovascular risk factors in adolescents"Japanese Journal of School Health. 44. 71-72 (2003)
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[Publications] Gowa Y et al.: "Serum leptin concentration in school children : Relationship to physical growth"Japanese Journal of School Health. 44. 155-157 (2003)
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[Publications] 森岡郁晴 他: "思春期の血清レプチン濃度と最大発育年齢および初経との関係"Auxology. 9. 99-102 (2003)
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[Publications] Wang T et al.: "Serum leptin levels in healthy adolescents : Effects of gender and growth"Environmental Health and Preventive Medicine. 9. 41-46 (2004)