小児1型糖尿病の合併症の実態に関するコホート研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14770186
• Research Institution: Jikei University School of Medicine
• Principal Investigator: 西村 理明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20343535)
• Keywords: 小児期発症1型糖尿病 / 疫学調査 / 合併症 / 予後

Research Abstract

わが国の小児期発症1型糖尿病(インスリン依存型)の予後は、近年においても著しく不良であり、その死亡率は同世代の一般人口の死亡率の10倍以上であった。しかし、医療制度が整備された1985年以降に診断された症例の予後ならびに合併症の累積発症率の詳細は不明であり、今回の調査を開始した。
本研究では、全国調査により1965〜79年ならびに85〜91年に登録された症例3505例の、2000年1月1日における合併症ならびに生存状況を明らかにすることを目的し、症例の追跡を行っている。平成14年度においては、対象症例の、合併症の進展状況並びに生存状況を、登録されている症例の主治医に調査票を送付し記入を依頼するという作業を中心に行った。その際、症例本人より、主治医を通して書面にての同意を得ることとしていたが、回収率が伸びず、再考を要した。厚生労働省が発表したインフォームドコンセントに関する新しい指針に基づき、口頭同意がえられれば良いように倫理委員会に申請し認定されたため、新しい調査票を発送中である。また、症例が転医していた場合は転医先を主治医から聞き、調査票を再送付するという作業も進行中である。
現時点において、対象症例3505例中1464例より反応があり、回収率は40.8%であった。そのうち、合併症状況が判明した症例は、909例(25.9%)である。現時点で、1985〜91年に診断された症例の標準化死亡比(SMR)を求めたところ、その死亡のリスクは一般人口の約3.5倍とほぼ欧米と同レベルに改善していた。調査の回収率の上昇を待って、合併症の解析も行う予定である。