2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770190
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大河内 二郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (80320349)
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Keywords | 高齢者 / ADL / 機能衰退 / 推移確率 / 統計モデル / 予測モデル / 介護 / 虚弱高齢者 |
Research Abstract |
目的: 1.痴呆、歩行障害、食事機能障害、排泄機能障害等の、基礎的なデータを用いて、65歳以上の高齢者がどのようなプロセスを経て、老化に伴う機能障害が発生するかを明らかにする。 2.老化のプロセスを明らかにすることにより、人口あたり必要な介護サービス量の見積もりを容易に行えるモデルを作成する。 方法: 大三島町の全高齢者のうち、同意が得られた方を対象に1年1回の高齢者のADLの調査を行た。これまでの7年間のデータの蓄積と合わせ、高齢者を自立、虚弱、要介護、死亡の状態に区分し、状態間の推移確率を計算した。 結果: 1.得られた推移確率を元に、年齢群間、性別間等の差を検討したところ、高齢になるほど虚弱、要介護、死亡のいずれも確率が高かった。また女性よりも男性が虚弱となる確率が高い一方で死亡の確率が低かった。 2.得られた推移確率からパラメーター行列を作成し、高齢者の機能状態の数の分布行列と掛け合せることで、将来数の予測をおこなった。実測との適合度は当初2年間は良好であるがその後3年間は適合度が低かった。 考察: 1.推移確率に影響を及ぼす要因の検討 推移確率モデルは複数の状態間の推移を同時に検討するため、高齢者全体の状況を的確に反映していると考えられた。 2.推移パラメーターを用いた高齢者機能の将来予測 高齢者数の分布と推移パラメーターの演算から将来予測を行うと、適合度が高い期間は2年であった。これはマルコフモデルの長期的適用が困難であることを示している。その原因として対象の高齢化やその他の要因により推移確率が変化したことが考えられた。しかし介護保険の事業計画は3年毎に見直されるため短期の予測モデルとしては利用できるかもしれない。 今後の検討課題: 1.より適合度の良いモデルの作成 2.介護サービスによる介入の効果の検討 3.介護保険開始前後の推移確率を比較することにより介護保険導入による効果を検討
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