2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770190
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大河内 二郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (80320349)
|
Keywords | 高齢者 / ADL / 機能衰退 / 推移確率 / 統計モデル / リスクファクター / 介護 / 慢性疾患 |
Research Abstract |
目的: 研究の1年目には、推移行列を用いた確率モデルを作成し、その適合度を検討した。2年目はADL機能低下のリスクファクターの検討を行った。特に介護保険法の財政悪化のひとつとされている、軽度ADL機能低下の要因を明らかにすることを目的とした分析を行った。 方法 1996年から2002年までのコホート調査に加え、2003年2月に行なった疾患、生活習慣等のリスクファクターのアンケート調査を行なった。このアンケート調査後ろ向き調査であるが、慢性疾患の発症時期、診断時期を明らかにでき、かつ、recall biasを最小限にできるように調査票を作成した。前向き調査と、後ろ向き調査の双方の結果から、ADL機能軽度低下および重度低下の二つのエンドポイントを用いてPolychotomous logistic regression modelにより、それぞれのリスクファクターを検討した。なお、軽度ADL機能低下は、要支援-要介護1に相当し、重度ADL機能低下は、要介護2以上に相当する。 結果: 1996年において1838名(65歳人口の95%)のうち、自立であったのは1585名であった。このうち290名が死亡し、111名が転居、施設入所、入院等により、2003年のリスクファクターのアンケート調査を行なうことが出来なかった。アンケート調査に回答したのは1085名(コホート設定時の自立のうち75%)であった。平均年齢は男71.6、女72.6であった。軽度および重度障害のリスクファクターとなる慢性疾患は以下の通りであった。 男性 軽度障害:慢性関節障害、骨折、慢性肺疾患、悪性腫瘍 重度障害:脳血管障害、うつ 女性 軽度障害:慢性関節障害、糖尿病 重度障害:脳血管障害、慢性関節疾患 結論 男性および女性で、軽度障害のリスクファクターとして、有病率がもっとも多いのは慢性関節障害であり、この予防および悪化防止が、要支援、要介護1の増加にたいしてもっとも効果があると考えられた。また、男性では、慢性肺疾患や悪性腫瘍の要因である喫煙対策が重要で、女性では糖尿病の管理が重要であることが示唆された。この結果は現在雑誌投稿中である。
|