2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ滑膜の遺伝子発現制御による治療の基礎的検討
Project/Area Number |
14770209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 晃弘 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90261974)
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜 / FRP / FosB |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)の滑膜組織における特異的発現遺伝子をdifferential display法により検討し、RAにおける発現増加遺伝子として、RA患者血清に対する自己抗原であるfollistatin related protein (FRP、FSTL-1)、転写因子のc-fosのファミリー遺伝子であるFOSBに注目した。 1.FosB また、FosBとそのsplicing isoformであるΔFosB(FosBのantagonistとして作用する)の比を検討したところ、FosB/ΔFosBは、RAにおいて2-3倍に上昇しており、ΔFosBの相対的低下がFosBの活性を増強している可能性が示唆された。これよりΔFosBの発現制御機構がRAの病態形成に関与している可能性が考えられた。 また、FosBとそのsplicing isoformであるΔFosB(FosBのantagonistとして作用する)の比を検討したところ、FosB/ΔFosBは、RAにおいて2-3倍に上昇しており、ΔFosBの相対的低下がFosBの活性を増強している可能性が示唆された。これよりΔFosBの発現制御機構がRAの病態形成に関与している可能性が考えられた。 2.FRP FRPはRAの自己抗原の一つとして報告されている蛋白であり、follistatinとの相同性から抑制型の機能が推測された。PCR法によりFRPのcDNAを作製し、リウマチ由来の滑膜線維芽細胞(RA-FLS)の不死化細胞株E11に遺伝子移入して、FRP強制発現FLSクローンを作成し、FRPが細胞増殖を抑制する可能性を検討した。得られたクローン2個についてFRP mRNAの発現量をreal-time RT-PCRにより測定したところ、1.5倍および2.6倍に発現増加していた。これらクローンの細胞増殖活性を色素発色により測定したところ、対照細胞に比してそれぞれ0.83倍、0.67倍に低下していた。この結果より、RA-FLSにおいて、FRPは発現量依存性に細胞増殖を抑制する傾向がみられ、FRPはRA滑膜組織の増殖抑制作用を持ち、FRPの強発現をRAの滑膜炎の治療に応用できる可能性が示唆された。
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