2002 Fiscal Year Annual Research Report
酵母様真菌カンジタ属におけるアゾール剤ヘテロレジスタンスの臨床細菌学的研究
Project/Area Number |
14770219
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山住 俊晃 近畿大学, 医学部, 講師 (50248035)
|
Keywords | カンジダ / フルコナゾール / ヘテロレジスタンス |
Research Abstract |
僧帽弁狭窄症に対して人工弁置換術の施行された患者においてフルコナゾール(FLCZ)投与にもかかわらず、血液より約3ケ月にわたり分離されたC.parapsilosis計5株を対象に臨床細菌学的性状を調べた。 その結果、1)薬剤感受性成績:初回の血液培養分離株(CP1)の薬剤感受性成績はFLCZ 1μg/ml、ミコナゾール0.25μg/ml、アンフォテリシン1μg/ml、フルシトシン0.125μg/mlであった。この24日後の2回目以後(CP2-CP5)ではFLCZのMICは、32-【greater than or equal】64μg/mlと上昇しており、耐性化が認められた。2)核型分析:パルスフィールド電気泳動法による検討では、CP1を含め分離株5株のgenotypeは同一であった。3)ポピュレーション解析:初回分離株CP1について、FLCZを4、8、16、32、64、および128μg/ml含有するポテトデキストロース寒天培地を使用してポピュレーション解析を行ったところ、64μg/mlのFLCZ含有プレート上に発育するクローンが10^4あたり1cfu程度に存在し、heteroreisitanceが確認された。一方CP2では全てのクローンがFLCZ含有プレート上に発育した。CP1で得られたheteroreisitanceサブクローンのFLCZに対するMICは【greater than or equal】64μg/mlであった。またFLCZ heteroreisitanceサブクローンを再度FLCZ含有プレート(64μg/ml)に培養したところ、均一な発育が観察された。 以上より、臨床的にみられたFLCZ治療早期の耐性化がin vitroで証明されたた。初代分離株はFLCZに対して一部のクローンが耐性を示すheteroreisitance株であり、FLCZにより耐性クローンが選択されることが明らかとなった。現在、耐性誘導株の安定性について引き続き検討中である。
|