2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における粘膜内リンパ球の役割-粘膜内リンパ球の上皮に与える影響
Project/Area Number |
14770230
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴原 健 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90333484)
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Keywords | 粘膜免疫 / 上皮内リンパ球 / 消化管上皮細胞 |
Research Abstract |
消化管粘膜免疫においては、上皮細胞と上皮内リンパ球(Intestinal Intraepithelial Lymphocyte ; IEL)の相互作用が重要な役目を担っていると考えられているが、IELが上皮細胞の機能に与える影響については不明な点が多い。我々はその相互作用を研究するために『IEL homing model』を作製した。このモデルでは、単層上皮細胞の基底側にIELをまくと、IELの上皮内への自然な遊走(IEL homing)が認められる。 今回の検討の結果、IEL homing後、上皮細胞のMHC class-I、-II、ICAM-1、CD44の有意な発現増加が認められた。この発現の増強は(CD44を除き)、IELの産生するIFN-gammaによることが確認された。 またIEL homingが起こると、上皮バリア機能(上皮の電気的抵抗)の著しい低下が認められた。この変化は、IEL由来のIFN-gamma、TNF-alphaなどが協調的に作用していることによることが確認された。 さらにIEL homingの後に、上皮の基底側から、IL-8、GRO-alpha、およびIP-10などのキモカイン産生が著しく亢進することが確認された。IP-10は、IEL由来のIFN-gammaによって、IL-8はIEL由来のTNF-alphaとその他の因子の影響で発現亢進することが確認された。 またIELによって上皮細胞を刺激することによって、炎症細胞の上皮への遊走がさらに誘導されることが確認された。 以上のように、IELは、上皮細胞の免疫機能に著しい変化をもたらすことが判明し、IELの消化管粘膜免疫における重要性が確認された。
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