2003 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎におけるミトコンドリア電子伝達系障害とその肝発癌への関与
Project/Area Number |
14770231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤江 肇 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90332577)
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Keywords | C型肝炎ウイルスコア蛋白 / ミトコンドリア電子伝達系 |
Research Abstract |
C型慢性肝炎における肝発癌の機序は完全には解明されていない。しかしながら、C型肝炎ウイルス(HCV)コア蛋白発現トランスジェニックマウスにおいてくヒトと同様の組織所見を呈する肝細胞癌を高率に誘発し、HCVコア蛋白が肝発癌に直接的に関与していることが示されている。ヒト慢性C型肝炎患者の肝においてミトコンドリアの形態異常が示されているが、このトランスジェニックマウスでも発癌に先立って、肝実質細胞のミトコンドリア二重膜構造の消失を早期から認め、肝臓内の酸化・抗酸化状態を経時的に定量した結果、炎症の非存在下に酸化系とともに抗酸化系が活性化しており、活性酸素種(ROS)が過剰に産生されていると考えられる。そして酸化傷害に伴うミトコンドリアDNAの欠失も早期に認める。以上より、HCVコア蛋白発現トランスジェニックマウスではミトコンドリアの機能異常が存在する可能性がある。 そこで、HCVコア蛋白の肝細胞ミトコンドリア機能に与える影響、特に電子伝達系の解析を行った。分離精製したラット肝臓ミトコンドリアとバキュロウイルス発現精製HCVコア蛋白を用い、酸素電極法で酸素消費量を測定した。HCVコア蛋白添加によりミトコンドリアの酸素消費量は減少、つまり電子伝達系は抑制された。さらに阻害部位を検討したところ、complex Iのみの活性が低下していた。 HCVコア蛋白によるミトコンドリア電子伝達系complex Iの抑制が示された。
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