2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770255
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
堀 和敏 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20289078)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 炎症性腸疾患 / 動物モデル |
Research Abstract |
肝細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor、以下HGF)はhepatotrophic factorとして同定されたが、上皮増殖因子としても機能するため、trinitrobenzensulfonic acid (TNBS)またはdextran sulfate sodium (DSS)で惹起した炎症性腸疾患動物モデルに対するHGFの治療効果を検討した。方法は、10週齢のmale Wistar ratに15mg/ml TNBS in 25% ethanolを1.0ml注腸、または2.5%DSS溶液を5日間自由飲水させた。浸透圧ポンプを腹腔内に埋め込み、recombinant human HGF (三菱ウェルファーマより供与)を7日間、50μg/day持続投与した。屠殺後潰瘍面積を測定し、組織学的な潰瘍の深さと炎症の程度をスコア化した。上皮増殖能の指標として、Ki-67免疫染色を施した後labeling index (LI)を算出した。急性炎症の指標として、粘膜のmyeloperoxidase (MPO)活性をo-dianisidine法で測定した。結果は、TNBSモデルとDSSモデルの潰瘍面積はそれぞれ47 vs 21 mm^2、 2.1 vs 0.8 cm^2 (control群vs HGF投与群、各群n=10-12)と、両モデルともHGF投与群日の方が有意に低値を示した。組織学的ダメージスコア(0-8)は4.2 vs 2.2、 4.1 vs 2.3で、両モデルともHGF投与群の方が有意に低値を示したMPO活性は1.3 vs 0.6 U/g tissue、1.8 vs 0.8 U/g tissueで、両モデルともHGF投与群の方が有意に低値を示した。Ki-67 LIは45% vs 45%、48% vs 46%と両モデルとも両群間にほとんど変化なく、統計学的有意差は得られなかった。上皮増殖能については他の増殖指標を用いるなど、更なる検討が必要と考えられるが、HGFは増殖因子としての作用のみならず抗炎症作用として機能している可能性が示唆される。
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