2002 Fiscal Year Annual Research Report
進行肝細胞癌に対する肝動注化学療法における抗癌剤耐性遺伝子の発現と臨床的応用
Project/Area Number |
14770259
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
安東 栄治 久留米大学, 医学部, 助手 (20299407)
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Keywords | 肝細胞癌 / 動注化学療法 / 予後 / 抗癌剤耐性遺伝子 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
我々は進行肝細胞癌に対して少量のシスプラチンと5-FUを用いた肝動注化学療法を行い、約45%の奏功率か得られ、奏効例は生命予後の延長が得られることを報告してきた。とりわけ進行肝細胞癌のなかでも最も予後不良とされている門脈腫瘍栓合併例は他に有効な治療法がなく、肝動注化学療法は唯一の効果が期待できる治療法であると考えられる(Cancer 2002;95:588-595)。この臨床研究では肝動注化学療法で利益の得られる患者と利益の得られない患者の識別化を治療前に行ういわゆるテーラーメイド治療の達成を目的とした。肝動注化学療法を行った進行肝細胞癌患者を対象として肝細胞癌組織中の抗癌剤耐性遺伝子の発現を調べことで、進行肝細胞癌に対する動注化学療法の良い適応症例を検討することとした。近年の乳癌や悪性リンパ腫の研究ではマイクロアレイを用いた腫瘍組織中の遺伝子発現プロファイルが患者の予後と極めて相関することが報告されている。この研究でもマイクロアレイを用いて約600個の遺伝子発現の解析を行い、肝細胞癌組織中の遺伝子発現プロファイルと臨床経過を対比する予定である。 この臨床研究を開始するにおいて最も重要な問題点は、我々が通常肝細胞癌の診断に用いる21G肝生検針で得られた腫瘍肝組織より十分なRNA抽出が可能かどうかであった。そこで我々はマウスによる予備実験を行った。マウス肝臓に癌細胞を注入し肝臓癌モデルマウスを作製した。マウス肝臓癌の腫瘍径が1.Ocm以上に増大した時点で21G肝生検針を用いて腫瘍肝生検を行った。肝臓癌組織より抽出されたRNA量は2.6μgでありマイクロアレイによる遺伝子解析に十分な量であった。倫理委員会の承認を得た後、早急にこの臨床研究を開始する予定である。
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Research Products
(1 results)