2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝障害モデルマウスを用いたC型肝炎ウイルスによる肝発癌機構の解析
Project/Area Number |
14770266
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 孝宣 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20333370)
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Keywords | HCV / トランスジェニックマウス / 化学発癌 / 四塩化炭素 / ジエチルニトロサミン |
Research Abstract |
我々はC型肝炎ウイルス(HCV)のコア領域を組み込んだトランスジェニックマウス(Tgマウス)に肝障害を誘導することにより、HCV遺伝子の発現による肝発癌への影響を検討した。まず、HCVのコア遺伝子領域を組み込んだTgマウスを作成するため、hSAPプロモーターの下流にHCVのコア領域191アミノ酸(genotype1b)をつなぎ発現ユニットを作成した。定法により得られたマウスをPCR法によりトランスジーンの組み込みを確認した。得られたTgマウスの肝臓をはじめとする各臓器を採取し、サザンブロット法、ウェスタンブロット法、また組織中のHCVコア蛋白量を定量することにより、組み込まれたトランスジーン、肝臓および他臓器でのHCVコア蛋白の発現を検討した。これらのTgマウスを経過観察するとともに、Tgマウスおよびコントロールのnon Tgマウスに四塩化炭素(CCl4)の腹腔内投与もしくはジエチルニトロサミン(DEN)の経口投与により肝障害を誘導し、肝腫瘍の発生を観察した。得られたTgマウスでは、8-25コピーのトランスジーンの組み込みが確認された。また、HCVコア蛋白の発現は肝特異的であり、C型肝炎肝癌患者の肝臓中のコア蛋白発現量とほぼ同程度であった。Tgマウス49匹(M:F=26:23)コントロールマウス39匹(M:F=16:23)を18-24ケ月間観察したが両者とも肝腫瘍の発生は認められなかった。そこでTgマウス14匹(M)コントロールマウス13匹(M)に20%CCl4を週一回腹腔内投与し肝障害を誘導し、40週間観察を行った。するとTgマウス8匹(57.1%)、コントロールマウス3匹(23.1%)に肝腫瘍の発生を認めた。またTgマウス11匹(M)コントロールマウス12匹(M)に20%CCl4を週二回腹腔内投与し肝障害を誘導し、40週間観察を行った。するとTgマウス8匹(9.1%)に肝癌の発生を認めが、コントロールマウスには肝癌の発生を認めなかった。次にTgマウス8匹(M)コントロールマウス5匹(M)にDENを経口投与し肝障害を誘導、16週間観察を行った。するとTgマウス2匹(25.0%)に肝癌の発生を認めたが、コントロールマウスには肝癌の発生を認めなかった。以上のように自然経過でのHCVコアTgマウスでの肝腫瘍発生は18-24ケ月令では認めなかった。しかし薬剤による肝障害誘導によりTgマウスにより多く肝腫瘍および肝癌の発生が認められた。
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