2002 Fiscal Year Annual Research Report
気道炎症に伴う気道分泌系細胞の機能異常とリモデリングに関する研究
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14770272
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 康 名古屋大学, 医学部付属病院, 助手 (80303650)
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Keywords | 気道分泌 / 粘液繊毛輸送能 / 慢性気道炎症性疾患 / プロテアーゼ受容体 / ヌクレオチド受容体 / ビスフェノールA |
Research Abstract |
粘液繊毛輸送能は、(1)イオントランスポート(Na^+吸収、Cl^-分泌)、(2)ムチン分泌、(3)線毛輸送能、により維持されている。これらの機能障害は、慢性気道炎症性疾患(COPD、気管支喘息)の病態の進展に深く関与する。現在まで様々な炎症誘導物質による気道分泌への影響について検討し、以下の結果を得た。 1)プロテアーゼ受容体を介した気道分泌への影響 炎症細胞や気道上皮細胞由来のトリプターゼ・トリプシンによるプロテアーゼ受容体の刺激またはプロテアーゼ受容体刺激ペプチドの刺激は、細胞内Ca^<2+>オシレーションを誘導するとともに、細胞内のCa^<2+>感受性を高め、Ca^<2+>依存性Cl^-輸送を促進した。この刺激は、長期効果としては気道分泌細胞の増殖・分化を促進したが、その一方でCl^-輸送能は抑制された。すなわち、プロテアーゼ受容体の持続的刺激は粘液繊毛輸送能を低下させ、気道分泌を障害する可能性がある。一方、粘液繊毛輸送機能の維持に深く関与する細胞外ATPの放出量を減少させることも明らかにされた。 2)ヌクレオチドおよびβアドレナリン受容体を介した気道分泌への影響 気道分泌細胞のヌクレオチド受容体およびβアドレナリン受容体の刺激はCl^-輸送のみならず、重炭酸イオン輸送を刺激し、気道炎症により酸性化した気道内腔のpHを正常化させる可能性が示唆された。また、気道内腔の酸性化は、気道過敏性の亢進・線毛運動能の低下を起こし、気道炎症を進展させが、炎症性サイトカイン(TNF-α、TGF-βなど)はスフィンゴ脂質伝達経路を介し、ヌクレオチド受容体の機能を抑制し、気道内を酸性化させた。また、ペットポトル、食品容器、歯科治療時の詰め物から溶出して人体へ摂取されている内分泌撹乱物質ビスフェノールAもヌクレオチド受容体を介する粘液繊毛輸送機能を低下させた。
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[Publications] Aoyama M, Ito Y, Nakayama S, et al.: "Slow deactivation and U-shaped inactivation properties in cloned Ca_V 1.2b channels in CHO cells"Biophysical Journal. 84・1. 709-724 (2003)
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[Publications] Ito Y, Kume H, Yamaki K, et al.: "Bioelectric Toxicity caused by chlorpromazine in human lung epithelial cells"Toxicology and Applied Pharmacology. 183・3. 198-206 (2002)
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[Publications] Ito Y, Kume H, Yamaki K, et al.: "Bisphenol A inhibits Cl^-secretion by inhibition of basolateral K^+ conductance in human airway epithelial cells"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 302・1. 80-87 (2002)