2002 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞を細胞死へと誘導する新しい癌抗原RCAS1の肺癌における役割と機能の解明
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14770273
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
出水 みいる 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60336021)
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Keywords | RCAS1 / 前癌病変 / ELISA |
Research Abstract |
(1)肺癌患者における血清RCAS1の意義について 100例の原発性肺癌患者、83例のコントロール血清を用いてELISA法でRCAS1の定量を行い、組織型、及び病期との関係を検討した。また、腫瘍マーカーとしての有用性を検討するためにROC曲線を作成しCEA、CYFRAとの比較を行った。肺癌患者のRCAS1の平均値は57.3 U/1、コントロールは4.51 U/1と肺癌患者で有意に上昇していた(P<0.0001)。組織型別では扁平上皮癌109.5 u/1、大細胞癌50.0 U/1、腺癌30.2 U/1、小細胞癌15.1 U/1と扁平上皮癌で高値であったが有意差は認めなかった。病期別ではI期8.58 U/1、II期10.4 U/1、III期15.2 U/1、IV期104.1 U/1と病期が進むごとにRCAS1値は上昇する傾向にあった(p=0.03)。またRCAS1値のcut offを20.5 U/1とした場合の肺癌診断における感度は40.0%、特異度95.1%であり、CEAとほぼ同等であった。肺癌患者における血清RCAS1はIV期での上昇が著しく、癌末期での細胞性免疫能の低下の原因の一つになっている可能性がある。一方、腫瘍マーカーとしての有用性については、現在頻用されているCEAとほぼ同等であり結論を得るには更なる症例の集積が必要と思われた。 (2)前癌病変におけるRCAS1の発現調査 経気管支生検で異型上皮と診断された73例で、RCAS1の発現を免疫組織学的に検討した。異型上皮におけるRCAS1の発現は25%(18例)に見られた。前癌病変の内訳はhyperplasia 8%(2/24)、metaplasia 25%(6/24)、dysplasia 40%(10/25)であり異型度が進むにつれRCAS1の陽性率が上昇する傾向にあった。従ってRCAS1は発癌過程において重要な役割を果たしている可能性があると思われた。
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