2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期におけるニコチン曝露が呼吸調節およびカテコラミン作動性神経群に与える影響
Project/Area Number |
14770278
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伯野 春彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80306703)
|
Keywords | ニコチン / 呼吸調節 / 低酸素換気応答 / 高炭酸ガス換気応答 / 乳児突然死症候群 |
Research Abstract |
【背景および目的】母体の慢性喫煙習慣は乳児突然死症候群(SIDS)の危険因子のひとつである。本邦における近年の若年女性の喫煙率が増加傾向にあることを考えるとSIDSは社会的にも重要な問題である。SIDS発症のメカニズムは明らかにされていないが、タバコの主成分であるニコチンが直接的に胎児中枢神経系の発達に影響を与えるとの報告がある。したがって、胎児期の慢性ニコチン曝露が個体の呼吸調節に与える影響を解明することはSIDS発症のメカニズムを考えるうえで有用である。本研究は胎生期の慢性ニコチン曝露が個体の低酸素および高炭酸ガス換気応答に与える影響を検討することを目的とした。【方法】妊娠ラットにニコチンパッチ(6mg/kg)を出産まで連日貼付した。同様の方法でプラセボパッチを貼付したニコチン非曝露母ラットも作成した。ニコチン曝露母ラットから生まれた新生ラット(N群)、ニコチン非曝露母ラットから生まれた新生ラット(C群)の室内気吸入時、低酸素(13%O_2、N_2バランス)吸入時、高炭酸ガス(10% CO_2、21% O_2、N_2バランス)吸入時の1回換気量、呼吸回数、分時換気量を体プレチスモグラフ法を用いて生後2,4,7,14日齢で無麻酔非拘束下で測定した。【結果】N群の体重10gあたりの分時換気量は室内気吸入時では2,4,7日齢で、低酸素および高炭酸ガス吸入時では2日齢でC群に比し有意に低下していた。この低下は主に呼吸回数の低下に起因していた。【結論】胎生期のニコチン慢性曝露は生後早期の低酸素および高炭酸ガス換気応答を含む呼吸調節(主に呼吸数の設定)に抑制的に作用する可能性が示唆された。この内容は平成15年3月13日の第43回日本呼吸器学会総会(福岡)で発表した。
|
Research Products
(1 results)