2003 Fiscal Year Annual Research Report
Redox活性蛋白チオレドキシンによる間質性肺炎抑制に関する分子学的解析
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14770281
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大窪 恭光 久留米大学, 医学部, 助手 (60289402)
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Keywords | 特発性間質性肺炎 / 肺リモデリング / サイトカイン / マウスモデル / レドックス蛋白 / thioredoxin |
Research Abstract |
IL-18はIL-2との連日投与は致死性の肺障害を誘導する 我々はIL-18をIL-2とともにマウスに連日投与するとすべての投与マウスに肺のみにリンパ球浸潤が急激に起こり肺線維化を伴う肺障害が誘導され効率に死亡する事を見出した。これらの結果はヒト特発性間質性肺炎発症においてIL-18が重要な役割を果たすと考えられる。そこでIL-18,IL-18 receptorα鎖に対するモノクロナール抗体を当教室で作成し特発性間質性肺炎の患者の肺生検組織で免疫組織染色を行った。患者病変部には正常肺より著明にIL-18,IL-18 receptorα鎖の発現していた。 redox蛋白チオレドキシン(TRX)は肺障害を抑制する ヒトTRXは淀井らによってクローニングされ、TRXはシステイン残基からのプロトン供与により標的蛋白のジスルフィド結合を開裂される強い還元活性を持つ。TRXはそれ自身が酸化されることにより、ジスルフィド結合を持つ也のタンパク質を還元する。一方、還元反応後のジスルフィド結合を形成した酸化型TRXはthioredoxin reductaseにより再還元されて還元型TRXに戻る。これによって酸化されたチオレドキシン・リダクターゼはそのプロトンドナーであるNADPHによって再澤元される。IL-18/IL-2で誘導される肺障害モデルは急激なリンパ球浸潤が肺の間質部に特異的に出現しマウスを死に至らせる。しかしながら脾臓の軽度腫大以外は腸管、肝臓、心臓、腎臓といった臓器には致死的変化は見られない。つまりIL-18によって誘導される致死の変化は肺特異的に起こる。そこで我々は"急性肺障害の病因に酸化ストレスが関与する"という作業仮説をたてた。京都大学ウイルス研・淀井淳司教授との共同研究でTRXがIL-18/IL-2で誘導される肺障害とブレオマイシンで誘導される肺線維症を抑制することを発見した。
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