2003 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物を用いた伸長ポリグルタミン鎖がCREB依存性転写活性化に及ぼす効果
Project/Area Number |
14770285
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小宅 睦郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (70313559)
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Keywords | モデル動物 / ボリグルタミン病 / 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 / CREB依存性転写 |
Research Abstract |
(1)研究の背景と目的 我々はポリグルタミン病の一つである歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA:dentatorubralpallidolysianatrophy)を題材にその病態機序に関する研究を進めてきた。我々は培養細胞を用いた一過性発現系において、伸長ポリグルタミン鎖を有する変異蛋白と転写コアクチベーターであるTAF_<II>130が結合し、CREB依存性の転写活性化を抑制することを明らかにした。このCREB依存性の転写活性化の障害により特定のcAMP応答遺伝子群の発現が抑制されることが推測され、その結果神経細胞の機能不全から細胞死に結びついていくとの仮説を考えた。 この仮説をモデル動物を用いた個体レベルの脳で検証するため本研究を行った。具体的には(1)cAMP応答配列(cAMP response elemnet:CRE)下にレポーター遺伝子としてβ galactosidase遺伝子を発現するトランスジェニックマウスとDRPLAトランスジェニックマウスとの交配によりダブルトランスジェニックマウスを作成し、レポーター遺伝子の活性を測定することで簡便かつ迅速にCREB依存性転写活性化への効果を検討した (2)結果と考察 (1)現在我々の研究室で系統樹立した76グルタミン(Q76)と有するDRPLAトランスジェニックマウスと、Washington大学より供与されたtandemにCRE配列が6つ並んだ下流にβ-galactosidaseを発現するトランスジェニックマウスを交配し、ダブルトランスジェニックマウスを系統樹立した。(2)これらのダブルトランスジェニックマウスと対照としてCRE-β galactosidase単独のTGを用いて検索した。CREB依存性の転写を賦活する条件として一過性に痙攣刺激を与え、マウス脳の様々な部位にてβ galactosidase陽性細胞の有無、分布につき比較した。(3)その結果ダブルトランスジェニックマウス脳において、β galactosidase遺伝子の発現が低下していることが明らかになった。この結果は培養細胞での一過性発現系のみでなく、哺乳類の脳においても伸長ポリグルタミン鎖存在下においてCREB転写が実際に阻害されることを示したものとして重要と考えられた。
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