2002 Fiscal Year Annual Research Report
里吉病(全身こむら返り症)における自己抗体の標的抗原の同定及び検討
Project/Area Number |
14770293
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 一博 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90332923)
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Keywords | 里吉病 / タクロリムス / ステロイド |
Research Abstract |
里吉病(全身こむら返り症)におけるタクロリムスとステロイド併用の治療経験 13歳女性。進行性有痛性筋クランプ、脱毛、無月経から本症例を里吉病と診断した。平成12年8月入院。免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を施行。筋クランプは軽快したが脱毛、無月経は改善せず。2ヶ月間筋クランプは軽快していたが、筋クランプの再増悪及び脱毛の進行を認め、同年12月再入院。既往歴:十二指腸潰瘍、アトピー性皮膚炎、気管支喘息の既往あり。 入院時現症:前頭部及び眉部の脱毛あり。腋毛、恥毛なし。筋力テスト時に有痛性筋クランプ症状が誘発される以外、神経系に異常所見を認めず。検査成績:CK正常。抗核抗体陽性。抗アセチルコリン受容体抗体150nmol/L強陽性。入院後経過:重症筋無力症症状を認めないが血中抗アセチルコリン受容体抗体陽性から、平成13年1月15日よりステロイドパルス療法施行後、タクロリムス3mg/日、プレドニゾロン(PSL)30mg/隔日治療を導入した。開始直後から筋クランプが増悪したため、バクロフェン40mg/日内服を加えた。その後、有痛性筋クランプ症状は改善した。平成13年5月以降バクロフェンを中止しても無月経、筋クランプ、脱毛症状の改善をみた。 里吉病の病態に自己免疫学的機序の関与が考えられている。過去の報告例ではIVIg、ステロイドパルス療法は有効ではあるが一時的なものであり、またPSL 100mg/日連日内服療法で無月経、脱毛の改善をみたとの報告があるが、いずれも極少数例での検討である。PSL100mg/日連日は成長期女性にとって、低成長、満月様顔貌、またその他の副作用(本例では十二指腸潰瘍の既往もある。)も無視できない。本症例にタクロリムスとステロイド併用療法を施行し全症状の改善をみた。同併用療法は里吉病治療の1選択肢となるのではないかと考えた。
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