2002 Fiscal Year Annual Research Report
MR拡散テンソル画像による多系統萎縮症の白質線維の評価
Project/Area Number |
14770295
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
滋賀 健介 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90336751)
|
Keywords | 多系統萎縮症 / 拡散テンソル / fractional anisotropy |
Research Abstract |
<目的>拡散テンソル画像は、水分子の拡散を3次元的に評価することにより白質線維の線維密度を非侵襲的に評価しうる新しい方法である。拡散テンソルにおける異方向性anisotropyを定量的に計測する指標としてfractional anisotropy (FA)がある。今回、多系統萎縮症(MSA)において、小脳遠心系および求心系線維のFA値を評価することによって、萎縮などの形態変化をきたす前に白質線維変性の評価ができないか検討した。<方法>MSAと診断された患者9人にMR拡散テンソル画像を撮像し、小脳求心系線維(中・下小脳脚)と小脳遠心系線維(上小脳脚)、脳梁にROIをおいてFA値を測定した。また、協調運動スコアであるICARSを用いて臨床症状の重症度を評価し、FA値との相関関係について解析した。 <結果>解析対象は、多系統萎縮症9名、疾患コントロール5名(SDAT5名)である。1.MSAにおけるFA値:MSA群のFA値は、下小脳脚0.722、中小脳脚0.673、上小脳脚0.866、脳梁0.859であった。疾患コントロール群のFA値と比較すると、下小脳脚・中小脳脚で有意にFA値が低く、その一方で上小脳脚や脳梁のFA値は両群間に差を認めなかった。2.MSAにおける中小脳脚/脳梁比とICARSとの相関:ICARSスコアを横軸に、中小脳脚/脳梁FA値の比を縦軸にとってプロットしたところ、ICARSと中小脳脚FA比との間には、負の相関が見られた。 <考察>多系統萎縮症で病理変化の見られる中小脳脚や下小脳脚でFA値の有意な低下を認めたことより、FA値が白質線維密度を反映している可能性が示唆された。また、中小脳脚のFA値が臨床的な失調スコアと負の相関を示したことより、FA値を測定によって白質線維の病理変化を評価できる可能性が示された。
|