2002 Fiscal Year Annual Research Report
PKC-ε活性化による心筋虚血再灌流障害の抑制の分子機構
Project/Area Number |
14770322
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三木 隆幸 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00336405)
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Keywords | プレコンデイショング / スタニング / PKC-ε / GLUT4 |
Research Abstract |
1.プレコンデイショング(PC)によるスタニング抑制効果とPKC-ε活性化との関連 虚血8分・再灌流5分の3回反復(IR-1)ならびに虚血5分・再灌流5分の5回の反復(IR-2)による心筋壁運動障害(スタニング)の程度は同程度であり、また、PKC-εのtranslocationの程度も両虚血プロトコールで差を認めなかった。IR-1を施行24時間後にIR-2を行った場合、IR-2によるスタニングの程度は軽減され、PC効果を認めた。一方、比較的長い虚血時間(8分)であるIR-1によるスタニングは、24時間前に施行したIR-2により軽減されないことから、PCのスタニング抑制効果は虚血障害自体の軽減によると考えられた。また、虚血によりPKC-εのtranslocationがもたらされない心筋梗塞後のリモデリング心においては、PCによるスタニング抑制効果が認められなかった。さらに、PCのスタニング軽減効果がPKC阻害薬で遮断されるとの既報とを考えあわせると、PC効果の誘導にはPKC活性化は必須であるが、その成立の十分条件ではないと推察された。 2.PCのスタニング軽減効果とGLUT4発現亢進との関漣 IR-1施行3時間後には、GLUT4のmRNAが約7倍、24時間後におけるGLUT4の蛋白レベルは約2倍に上昇した。免疫組織標本による検討ではIR-1施行24時間後においてGLUT4発現は細胞膜により多く認められた。これら虚血後のGLUT4の発現亢進はPKC阻害薬で遮断された。以上の成績から、PCのスタニング軽減効果の機序には、PKC活性化に引き続いてGLUT4の発現が誘導され、心筋細胞の糖の取り込みが亢進することが関与していると推察された。 これらの成績の一部は第24回欧州心臓学会(平成14年9月、ベルリン)、また第67回日本循環器学会(平成15年3月、福岡)において発表予定した。
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