2002 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血細胞を用いた多能性幹細胞の単離と心筋細胞への分化誘導法の確立
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14770330
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
李 慧崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317140)
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Keywords | 臍帯血細胞 / 多能性幹細胞 / 心筋細胞 / ヒト |
Research Abstract |
ヒト臍帯血より多能性幹細胞の分離と心筋細胞への分化誘導 (1)ヒト臍帯血中の細胞より多能性幹細胞の分離:ヒト臍帯血を入手後にヘパリンを混入し凝血を予防している。ヒト臍帯血の表面抗原を抗ヒト表面抗原抗体を反応させflow cytometoryを用いて解析を行った。解析する表面抗原としてはCD34,c-kit等の造血幹細胞等の未分化な細胞に発現しているもの、CD45等の血球系の細胞に発現しているものや他の幹細胞に発現しているものを用い分化能の予測を行った。ヒト末梢血に比して臍帯血においては各種幹細胞マーカーの発現の上昇を認めた。比重の違いを利用してヒト臍帯血より赤血球、血小板等の不要と思われる細胞を除き単核球細胞のみを分離している(パーコール法)。ヒト臍帯血より得られた単核球細胞を各種培養皿(ファイブロネクチン等でコートあるいはコーティングなし)に無血清〜20%牛胎仔血清の条件下に培養している。本来血球系の細胞は培養皿に付着しないが、この方法では接着する細胞が高率に得られることが判明した。培養前・後の細胞に対して、上記と同様の細胞表面抗原の解析を行い表現系の変化から分化能を現在は行っている。 (2)心筋細胞への分化誘導:(1)ヒト臍帯血由来多能性幹細胞を新生仔ラット心筋細胞と共培養を行い心筋細胞への分化誘導を行った。あらかじめヒト臍帯血由来の細胞を細胞膜に付着する色素を用いラベルすることにより共培養後に識別可能となった。低い確率ではあるがヒト臍帯血由来の細胞より心筋細胞と思われる形質を示す細胞が得られることが判明した。各種抗体を用いて免疫染色を行い分化誘導した細胞を共焦点レーザー顕微鏡にて観察したところ、あらかじめ標識した色素が存在する細胞の一部に心筋収縮蛋白や心筋特異的転写因子などを発現する細胞が出現することが判明した。(2)ヒト臍帯血由来多能性幹細胞に対して、心筋分化に関与していることが推測されている細胞増殖因子(BMP2,TGFβ,Activin-A, FGF-1/2,IGF-1,LIF, CT-1,PDGF-BB, HGF, EGF等)を添加し、心筋細胞への分化能を観察した。また我々が骨髄由来の間葉系幹細胞より心筋に分化した際に用いた脱メチル化剤5-アザシチジンを添加し心筋細胞への分化能を観察した。現在分化能を検討中である。
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