2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞から心筋細胞への分化過程におけるDNA脱メチル化の意義の解明
Project/Area Number |
14770334
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡部 輝雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60255445)
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Keywords | 心筋細胞 / 転写因子 / 脱メチル化 |
Research Abstract |
我々は、これまでマウス骨髄間葉系幹細胞から心筋細胞に分化する細胞株を樹立し、CMG細胞と命名した。このCMG細胞は、DNA脱メチル化剤である5-アザシチジンや他の分化誘導剤を用いることにより心筋細胞や脂肪細胞などへ分化させることが可能である。今回我々は、分化誘導剤をかける前のCMG細胞と分化誘導後のCMG細胞からRNAを採取し、DNAチップを用いてエピジェネティクスの解析を行った。 分化誘導前に1週間CMGを培養する。1週間培養後にRNAを採取しDNAチップにより解析を行った。また、一部の細胞では5アザシチジンによる分化誘導を行い分化誘導後3日、7日の時点でRNAを採取しDNAチップによる解析を行った。分化誘導前のCMG細胞では、心臓特異的な転写因子の発現はみられなかった。しかし、分化誘導後3日の時点では、心臓特異的転写因子であるNKx2.5、MEF2C、GATA4、eHAND、dHANDの発現の有意な上昇を認めた。分化誘導後7日の段階では3日の段階と比較して約3倍に転写因子の発現の増加を認めた。この結果より5アザシチジンによる分化誘導の機序に心筋細胞特異的な転写因子の遺伝子の脱メチル化が関わっていることが示唆された。次いでこれらの転写因子のうちNkx2.5、MEF2C、GATA4の遺伝子を用いて発現ベクターを作成した。これらの発現ベクターを5アザシチジンにより分化誘導をかける前のCMG細胞にトランスフェクションして分化誘導が可能か試みたが、心筋細胞へと分化した細胞は認められなかった。よって骨髄細胞から心筋細胞への分化機序にはより上流の転写因子の活性化が必要であると考えた。
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