2002 Fiscal Year Annual Research Report
容量負荷心不全における成長ホルモン受容体の発現と心筋細胞分化への関与
Project/Area Number |
14770351
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
星合 美奈子 山梨大学, 医学部, 助手 (30334866)
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Keywords | 容量負荷心不全 / 成長ホルモン / 成長ホルモン受容体 / 心筋細胞内カルシウム動態 / 未熟心筋細胞 |
Research Abstract |
本研究課題に対して平成14年度に得られた研究結果は、以下のとおりである。 1、生後46週のWistarラットを用い、容量負荷群およびコントロール群を各15例ずつ作成した。術後4週まで生存した各11例に対して実験を行った。また容量負荷に加え成長ホルモン(GH)の直接効果を比較するため、容量負荷+GH投与群11例についても検討した。 2、容量負荷心不全ラットにおける心機能評価:各群それぞれ5例ずつを対象とした。容量負荷群ではコントロールに比べ左室径の拡大、心収縮力の増大がみられた。また、左室拡張末期圧、中心静脈圧は上昇していた。GH投与ではさらに心収縮力の増大があったが、左室拡張末期圧は上昇していなかった。 3、心筋組織学的検索:容量負荷群はコントロール群より左室後壁径が増大しており、心筋の繊維化がgrade2、3までみられたものがそれぞれ11%あった。しかしGH投与群では、grade2以上の繊維化はみられなかった。 4、心筋細胞内カルシウム動態の評価:各群3例ずつを用いて評価した。相対的な細胞内Ca流入量、流入速度、および流出速度について検討したが、有意な差はなかった。 5、GH受容体(GHR)および心筋収縮蛋白の定量的評価:各群3例ずつを用いた。現在心筋組織からのRNA抽出および目的蛋白の抽出を試みている段階であり、最終的な検討はできていない。 以上から、容量負荷心筋では心収縮力増大、心筋肥大がありGH投与によるのと同様な反応があるが、GHの直接関与についてはGHR、心収縮蛋白の定量評価の結果を得る必要がある。またGH欠損ラットにおける評価も現在試みているが、シャント作成後の全身状態が不良のため目的とする実験を行うのが困難であり、今後の実験方法の検討を行っている段階である。
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