2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性腫瘍、アレルギー疾患におけるグルタチオンS-トランスフェラーゼ遺伝子解析
Project/Area Number |
14770361
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小野 浩明 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (40304414)
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Keywords | glutathione s-transferase / GSTM / GSTT / 悪性腫瘍 / 抗腫瘍剤 / 喘息 / アトピー性皮膚炎 |
Research Abstract |
Glutathione S-transferase(以下GST)は種々の電子、フリーラジカル、過酸化物へのglutathioneの抱合を促進する酵素であり、生体内では外因性、内因性の生体異物の除去を担っている。ヒトGlutathione S-transferase(以下GST)は4種類のsubfamily(GSTα、GSTμ、GSTπ、GSTθ)が存在する。そのうち、GSTμのsubfamilyのSGTM1遺伝子とGSTθ subfamilyのGSTT1遺伝子では欠失したタイプが知られている.今回の研究では小児悪性腫瘍発症、抗腫瘍剤副作用の発現、喘息・アトピー性皮膚炎などの小児アレルギー疾患発症とGST遺伝子欠失の関係を検討した. 小児悪性腫瘍患者におけるGST遺伝子解析は、12例に行われた。GSTM遺伝子の欠失は6例、GSTT遺伝子の欠失は2例に認められたが、今のところ正常対照者との分布差は認められていない。抗腫瘍剤による副作用は6例に認められた。副作用を呈した患者ではGSTM遺伝子欠失例は4例認められたが、GSTT遺伝子欠失例は認められなかった。副作用を呈さなかった残りの患者6例ではGSTM遺伝子欠失は2例、GSTT遺伝子欠失は2例であった。両群で遺伝子欠失例の分布に有意差は認められなかった。 アレルギー患者に関する解析はアトピー性皮膚炎(以下AD)3例、喘息(以下AS)4例にて行われた。ADでは3例中2例に、ASでは4例中2例にGSTT遺伝子の欠失が認められた。正常対照との差を見るための統計学的解析を行うには症例数が少なく、検討できない。
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