2003 Fiscal Year Annual Research Report
小児Q熱の病態解析と診断法開発-不明熱、不登校児におけるQ熱の病因的関与-
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14770364
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
前田 明彦 高知大学, 医学部, 助手 (50335931)
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Keywords | Q熱 / Coxiella burnrtii / 慢性疲労症候群 / 不明熱 / 人畜共通感染症 / 不登校 |
Research Abstract |
Q熱(Coxiella burnetii以下Cb感染症)の臨床像を明らかにすることを目的に、発熱性疾患、原因不明の脳髄膜炎、および、不定愁訴を伴う不登校の小児を対象に、Cb感染症の病因的関与について、血清学的および分子細菌学的検討を行った。Cbゲノムの検出にはPCR法を、血清診断としては、蛍光抗体法による、I相菌抗体、II相菌抗体の各々IgG、IgM抗体を測定した。 小児6例をQ熱と診断した。全例で、ペット飼育歴があり、遷延性の発熱(19日間〜7カ月間)が主訴であった。随伴症状に特異的なものはなく、不明熱2例、呼吸器感染症から髄膜炎に進展した例、SLE様症状、4カ月間持続する易疲労性のため不登校を呈した例など非特異的かつ多彩な症状を呈した。診断根拠は、全例血液中Cb-PCR陽性で、髄膜炎の1例を除いてCb抗体の上昇が確認され、他の感染症、自己免疫疾患は否定し得た。明らかな免疫不全症を有さないにもかかわらず、異なった複数の常在菌による敗血症を合併した例が2例認められた。4例においてはミノサイクリン、ドキシサイクリンの2〜3週間投与が奏効した。慢性Q熱と診断した3歳男児例では、テトラサイクリン系薬剤は無効、Cbの標的食細胞のアポトーシスを誘導するIFN γ投与が有効であったが、投与中止後に再発死亡した。肝脾腫、慢性疲労症候群を呈した2例では、Cbゲノムが間歇的に陽性となり、年余にわたる長期の治療、フォローアップが必要であった。不明熱ではQ熱を積極的に疑うことが、診断に重要であることが確認された。不登校を主訴とする12歳例はアジスロマイシンの間歇的投与により、Cbゲノムの陰性化に伴い、易疲労性および不登校は改善した。不登校児ではQ熱を鑑別することが必要である。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 前田明彦, 脇口 宏: "Q熱"小児科. 44. 527-533 (2003)
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[Publications] 前田明彦: "インフルエンザの臨床経過中に発生する脳炎・脳症および病態に関する研究"厚生労働科学研究(新興・再興感染症研究事業)「インフルエンザの臨床経過中に発生する脳炎・脳症の疫学及び病態に関する研究」平成12年度〜14年度総合研究報告書. 118-124 (2003)
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[Publications] 前田明彦, 脇口 宏: "薬剤耐性菌の現状と対策-難治性中耳炎をどう治療すべきか?"医学のあゆみ. 206 (2003)
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[Publications] 久川浩章, 前田明彦, 他: "小児悪性腫瘍・難治性ウイルス感染症に対する活性化自己T細胞輸注療法"高知県小児科医会報. 15. 39-45 (2003)
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[Publications] 森澤 豊, 前田明彦, 他: "乳児急性細気管支炎に対するイソプロテレノール持続吸入療法"高知県小児科医会報. 16. 35-38 (2003)
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[Publications] 前田明彦: "麻疹"日本医師会雑誌特別号 実践小児診療. 129. S188-S191 (2003)
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[Publications] 前田明彦: "突発性発疹"日本医師会雑誌特別号 実践小児診療. 129. S193-S194 (2003)
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[Publications] 前田明彦: "水痘、帯状疱疹"日本医師会雑誌特別号 実践小児診療. 129. S195-S197 (2003)
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[Publications] Kimura H, Wakiguchi H, et al.: "Prognostic Factors for Chronic Active Epstein-Barr Virus Infection."The Journal of Infectious Diseases. 187. 527-533 (2003)
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[Publications] 岡田泰助, 前田明彦, 他: "C型肝炎に対するIFN-α療法中に網膜中心静脈閉塞症と網膜動脈の血流低下を呈した若年発症1型糖尿病の1例"小児科臨床. 56. 47-50 (2003)
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[Publications] 前田明彦, 脇口 宏: "ウイルス感染とアポトーシス"小児科. 34. 1786-1790 (2002)
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[Publications] 脇口 宏, 前田明彦: "血球貪食症候群とウイルス"日児誌. 106. 1211-1216 (2002)
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[Publications] 宮村充彦, 前田明彦, 他: "長期経管栄養施行中の重症心身障害者に対する亜セレン酸ナトリウム内服液投与の有用性"医療薬学. 28. 443-459 (2002)
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[Publications] 成瀬桂史, 前田明彦, 他: "CAPD施行中に急性膵炎を合併した2小児例"日本小児腎不全学会雑誌. 22. 187-189 (2002)
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[Publications] Takechi T, Maeda A, et al.: "Infiltrations of epstein-barr virus-carrying cells in granular lymphocyte-proliferative disorders corresponding to chronic active epstein-barr virus infection."Pediatr Hematol Oncol. 19. 459-465 (2002)
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[Publications] Nagy N, Maeda A, et al.: "SH2D1A expression in Burkitt lymphoma cells is restricted to EBV positive group I lines and is downregulated in parallel with immunoblastic transformation."Int J Cancer. 100. 433-440 (2002)
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[Publications] Kassis J, Maeda A, et al.: "EBV-expressing AGS gastric carcinoma cell sublines present increased motility and invasiveness."Int J Cancer. 99. 644-651 (2002)
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[Publications] Nagy N, Maeda A, et al.: "The X-linked lymphoproliferative disease gene product SAP is expressed in activated T and NK cells."Immunol Lett. 82. 141-147 (2002)