2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770375
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森 庸祐 帝京大学, 医学部, 助手 (20328090)
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Keywords | 周期性嘔吐症 / 偏頭痛 / カルシウムチャンネル |
Research Abstract |
周期性嘔吐症は病因が今日まだ不明で、いくつかの異なる病因が混在していると思われる。本研究では、本症の典型的症状を呈する患者の臨床データーの詳細な解析および遺伝子解析を試みた。 〔症例および方法〕検討した症例は重症の周期性嘔吐症患児6例である。年齢は5才から14歳で、いずれも数年の現病歴を持っていた。臨床検討は、詳細な家族歴聴取、血清ACTH, ADH、コルチゾール、血糖、尿ケトンなどの血液尿検査および脳波を検討した。さらに種種の治療による治療効果、臨床経過を解析した。また、遺伝子解析はミトコンドリア遺伝子、P/Q型神経特異的カルシウムチヤンネル遺伝子を検討するために、血液からDNAを抽出し、各エクソンをPCRで増幅し、塩基配列を解析する方法で行った。 〔結果および考察〕臨床的検討:6例中、3例で両親のどちらかが偏頭痛を持っていた。いずれも低血糖は見られなかったが、尿中ケトンは発作時は全例で陽性であった。脳波は4例で異常を示した。また、検討した全例で血清ACTH, ADH、コルチゾールは高値を示した。本研究期間に2例が重症の嘔吐発作で入院した。通常の輸液や制吐薬では改善せず、偏頭痛薬であるソマトリプタン投与で劇的に症状は改善した。ソマトリプタンは1〜1.2mgを皮下注射し、1回投与で改善しない場合は、数時間後に再度同容量を投与することにより症状は劇的に改善した。脳波所見に異常が見られた症例では予防内服としてバルプロ酸が有効であった。偏頭痛を家族暦に持つ患者では、偏頭痛薬が有効であると考えられた。また、脳波異常を呈する患者では、フェノバルビタールやバルプロ酸が発作予防に有効であると思われた。今後、症例を蓄積し臨床的分類法を確立したい。 遺伝子解析:遺伝子解析も試みたが、望ましい結果が得られなかった。実験方法を検討し、分析する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 志賀勝秋, 児玉浩子, 仲本なつ恵, 森庸佑: "長期経腸栄養におけるヨウ素代謝について"日児栄消肝誌. 16・増刊. 45 (2002)
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[Publications] 金子衣野, 森庸佑, 仲本なつ恵, 藤井靖史: "周期性嘔吐における臨床的検討"日児誌. 106・2. 299 (2002)