2002 Fiscal Year Annual Research Report
色素異常症におけるメラノサイトを制御するサイトカインおよび転写因子MITFの関与
Project/Area Number |
14770399
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
北村 玲子 山梨大学, 医学部, 助手 (50311692)
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Keywords | 色素細胞 / 色素異常症 / MITF |
Research Abstract |
目的SCF、ET-1、GM-CSF、などのケラチノサイト由来のサイトカインおよびこれらのレセプターであるc-kit、ET-B receptor、GM-CSF receptorと転写因子MITFに着目し、ヒトの色素異常症である尋常性白斑の患者皮膚を用いてこれらの因子の分泌異常あるいは発現異常をRT-PCR、および免疫組織染色、ウエスタンブロット法を用いて検討し、さらにサイトカインにより引き起こされるメラノサイト上のレセプターを介したシグナル伝達にMITFがどう関わっているか検討した。方法:尋常性白斑患者から採取した皮膚を用いて、正常部、白斑部表皮におけるメラノサイト活性化サイトカインおよび皮疹境界部でのメラノサイト上のレセプターの発現を免疫染色、ウエスタンブロット、RT-PCRを用いて比較検討した。結果:正常部、白斑部表皮における、ET-1, SCF, GM-CSFのRT-PCR解析では白斑部表皮においてET-1, SCFの発現が増加していた。ウエスタンブロッティング解析では白斑部表皮においてmembrane-bound SCFの発現が増加していた。次に境界正常部、境界白斑部でのメラノサイト上レセプターであるc-kit, ET-BRの発現およびS100α,チロシナーゼを免疫組織染色により検討したところ、境界正常部と比較し境界白斑部ではET-BR, S100α,チロシナーゼ陽性細胞は若干低下しているのみであったが、c-kit陽性細胞は境界正常部に比べ境界白斑部で有意に低下していた。白斑中央部ではET-BR, S100α,チロシナーゼ,c-kit陽性細胞は全く認められずメラノサイトは消失していた。さらに、転写因子MITFについて、免疫組織染色およびウエスタンブロットを用いて検討したところ、正常部に比べ、境界白斑部で発現の低下がみられた。結論:白斑部での表皮由来メラノサイト活性化サイトカインは、RT-PCR解析およびウエスタンブロッティング解析ではむしろ発現の増加を認めた。白斑境界部位においては、S100α,チロシナーゼ陽性のメラノサイトがいまだ存在していたが、c-kit発現の有意な減少を認め、転写因子MlTFの発現も低下していた。以上より皮疹部でのメラノサイトの消失過程にc-kit発現異常の関与が示唆された。
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