2002 Fiscal Year Annual Research Report
早期悪性腫瘍細胞の上皮内因子および創傷治癒因子に対する反応を検討する
Project/Area Number |
14770400
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
村田 浩 信州大学, 医学部・皮膚科学教室, 助手 (70262722)
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Keywords | メラノーマ / 細胞成長因子 / 創傷治癒 / 細胞培養 |
Research Abstract |
平成14年9月より、アメリカ同時多発テロの影響で、使用していた培地のうち、メラノサイト用の培地が出荷中止状態となった。その影響により、その時点まで培養していた早期メラノーマの細胞の経代がうまく行かず、一度振り出しに戻ってしまった。その後、以前より経代し、同じ培地の併用が必要であった原発メラノーマ細胞を使用して培地の条件を探り、現在、SCF、basic FGF、endothelin-1、insuline、GROalphaなどを併用することによりこの細胞の経代が可能となったため、新規にメラノーマの早期病変および表皮内病変の培養を開始したところである。3つの表皮内メラノーマのうち1つは増殖を開始しており、ひとつは一部の細胞に分裂が見られている。もう1症例に関しては、開始したばかりのため、現時点では判断不能の状態である。 この適正培地の検索の過程において、原発巣のメラノーマ細胞では、低濃度のSCFが必須であるが、高濃度になると抑制性に働くという現象が認められた。転移巣では常に抑制に働くという報告があり、この反応性の変化が、転移能を獲得する一段階であることが示唆されたが、少数の細胞系での実験であり、詳細な検討が必要な段階と考えられる。この点については、今回の計画の派生実験として、また浸潤細胞と表皮内病変との比較実験の一部として、今後も継続することとした。 以上のように、現時点では、何とか開始時点までは取り戻した、という状態である。今後、酸素濃度も含めた至適条件のつめが、もう少し必要な段階となっている。
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