2003 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎における高IgE血症と表皮細胞由来因子の関連についての研究
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14770412
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森本 謙一 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80335679)
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Keywords | IgE / 角化細胞 / B細胞 |
Research Abstract |
1.角化細胞抽出液(PAM extract)のIgE産生増強効果の作用機序についての検討:PAM extractが有するIgE産生増強効果について、脾細胞を用いてIgEへのクラススイッチに及ぼす影響を検討した。マウス脾細胞をIL-4、抗CD40抗体、およびPAM extractの存在下に培養し、培養後の細胞よりmRNAを回収した。得られたmRNAよりRT-PCRを行い、IgEへのクラススイッチについて検討したところ、添加したPAM extractの濃度依存性にクラススイッチが誘導されていることが分かった。この結果は同時に測定した培養液中のIgE濃度とよく相関した。一方、細胞に恒常的に発現している遺伝子の発現量に大きな変化はなかった。PAM extractのIgE産生増強効果は細胞の増殖によるものではなく、IgEへのクラススイッチによるものと考えられた。 2.IgE産生増強効果の標的細胞についての検討:PAM extract中のIgE産生増強因子が、脾細胞中のどの細胞集団に対して活性を有しているかについて検討した。磁気細胞分離装置(MACS)を用いて、脾細胞よりB細胞集団のみを分離した。得られたB細胞をIL-4、抗CD40抗体、およびPAM extractの存在下に培養し、培養液中のIgE濃度を測定したところ、添加したPAM extractの濃度依存性にIgE濃度が上昇した。これよりPAM extractに含まれるIgE産生増強因子は、B細胞に対して直接作用することが分かった。標的細胞が同定できたことにより、今後PAM extractの同定・解析が伸展すると思われる。 以上の結果を国際研究皮膚科学会、日本アレルギー学会で報告した。また、論文を準備中である。
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