2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の早期診断を目的とした新規放射性薬剤の開発
Project/Area Number |
14770462
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小野 正博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80336180)
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Keywords | アルツハイマー病 / 老人斑アミロイド / インビボイメージング / 放射性医薬品 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の確定診断に患者死後脳の病理学的所見が必要な現状において、体外からの老人斑の画像化は有効な診断法の確立につながると考えられる。そこで我々は、核医学的手法を用いた老人斑のインビボ画像化を目的として、老人斑アミロイドに選択的結合性を有する新規放射性薬剤の開発を計画した。我々はこれまでに、Congo RedおよびThioflavin-Tの誘導体であるスチルベンおよびベンゾフランの分子骨格が老人斑アミロイド画像化薬剤の開発に有用さある可能性を示した。本研究では、今後急速な増加が予測されるAD患者の診断効率を,高めるために、臨床核医学診断において、最も汎用性に優れた放射性核種であるテクネチウム-99m(Tc-99m)を分子内に導入した新規Tc-99m標識放射性薬剤の設計・合成を行い、インビトロ結合実験によるAβ凝集体との結合親和性および正常マウスにおける体内放射能動態の検討から、老人斑アミロイド画像化薬剤としての有用性について検討を行った。その結果、フェニルベンゾフランにTcとの錯形成部位としてヒドロキサムアミド基を導入した化合物を合成し、還元剤であるスズ酒石酸の存在下、過テクネチウム酸ナトリウムとの錯形成反応により、95%以上の放射化学的収率で目的とするTc-99m標識ベンゾフランを合成した。Aβ(1-40)凝集体を用いたインビトロ結合実験において、Tc-99m標識ベンゾフランは、Aβ凝集体への高い結合性を示したが、正常マウスにおける体内放射能分布実験において、脳への移行性は低いことが確認された。今後、Tc-99m錯体の低分子化や脂溶性の増加により、脳集積性の向上を図る必要があると考えられる。
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Research Products
(1 results)