2002 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリン結合型ボロン化合物運搬体によるBNCT用腫瘍送達システムの開発
Project/Area Number |
14770472
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
笠岡 敏 帝京大学, 薬学部, 助手 (90338690)
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Keywords | BNCT / liposome / transferrin / polyethylene glycol / drug delivery systeme |
Research Abstract |
本研究は、ボロン中性子捕捉療法の製剤的な問題点を解決すべく、腫瘍細胞内に能動的かつ選択的にボロン化合物を送達できるリポソーム製剤の開発を目指している。本年度はボロン化合物を封入したTF-PEG-リポソームの調製と、その細胞内挙動、さらに中性子照射による細胞傷害効果を検討した。 ボロン化合物として、Sodium Mercaptoundecahydrododecaborate(BSH)を用いて、逆相蒸発法にて、BSH封入PEG-リポソームを調製した。さらにPEGの先端に、腫瘍細胞標的リガンドとしてトランスフェリン(TF)をEDC&Sulfo-NHS法で結合させ、BSH封入TF-PEG-リポソームを調製した。このリポソームを、マウス大腸癌であるColon26細胞とインキュベートし、順天堂大学医学部のMIP-MSを用いて、細胞内の^<10>B濃度を各ボロン製剤において測定したところ、TF-PEG-リポソームにおいて、高い細胞内集積性が認められた。また、京都大学原子炉実験施設で中性子を1×10^<12>フルエノス照射したところ、BSH溶液、BSH封入PEG-リポソームと比較して、BSH封入TF-PEG-リポソームは有意に高い抗腫瘍効果を示した。この傾向は、細胞外のボロン化合物を取り除いて、同様の実験を行った場合、顕著であった。これらのことから、in vitroにおいてBSHを封入したTF-PEG-リポソームを用いることで、レセプターを介したエンドサイトーシスによって、細胞内の^<10>B濃度を上昇させ、中性子照射によって、より高い抗腫瘍効果を示すことがわかった。 また、in vivoにおいて、TF-PEG-リポソームとPEG-リポソームを用いることで、Colon26担癌マウスに高い^<10>B集積性が示された。現在、Colon26担癌マウス対するBNCT効果を検討するとともに、高価なBSHから、安価で入手が容易なボロン製剤への移行を目指して、検討中である。
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