2004 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症における磁気共鳴スペクトロスコピーの有用性についての検討
Project/Area Number |
14770475
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
竹内 千仙 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70333094)
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Keywords | 多発性硬化症 / MRS / 軸索障害 / NAA |
Research Abstract |
【背景】これまでの研究により多発性硬化症(MS)においては,大脳白質全体で神経細胞軸索のマーカーであるNAAの低下を認め,広範な軸索障害が示唆されることが明らかとなった.インターフェロン(IFN)β1-bはMSの再発を抑制し,進行を抑制する作用があり,現在国内で認可されている唯一の薬剤であるが,その作用機序は必ずしも明らかではなく,また軸索障害に対する効果は不明である.MRSを用い,IFN治療効果との関連について検討した.【方法】対象はIFNβ1-b治療を開始したMS8例と未治療のMS11例,治療開始前及び2年後にMRSを施行し,得られたスペクトルを検討した.MRIは1.5T MRI(TOSHIBA EXELART^<TM>), Singlevoxel法(Vbxel size 2×2×2cm^3)で,任意の大脳白質に関心領域を設定し,N-acetylaspartate (NAA), Creatinine (Cr), Choline (Cho)の各ピークを検出,Crとの比をとり,定性的に評価した.撮像シークエンスはPRESS法,TR 2000 msec. TE 136 msec,水抑制パルスはCHESS法を用い,スペクトル分析はMRS-PROによる自動解析とした.,統計にはWilcoxonの符号付順検定を用いた.【結果】IFNβ1-b治療群,及び未治療群での年間再発率は,それぞれ0.36回/年,および0.15回/年で有意差はなかった.IFNβ1-b治療群では,治療前に比べ2年後では約24%の有意なNAA/Crの上昇を認めた(p=0.018)が,未治療群においては,有意な変化は認められなかった.【考察】MSの機能障害は軸索障害との密接な関連が示唆されておりパ今回の研究の結果は,IFNβ1b治療は軸索障害を改善する可能性を示唆している.【結論】MRSの臨床応用について検討した.MRSはMSの治療効果の評価に有用であり,MSの軸索障害は可逆的である可能性が示唆される.
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Research Products
(1 results)