2002 Fiscal Year Annual Research Report
末梢発生肺腺癌におけるCT画像上のスピクレーションと組織学的血管リモデリング
Project/Area Number |
14770480
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
梶原 景子 日本医科大学, 医学部, 助手 (10343592)
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Keywords | 肺腺癌 / 血管リモデリング / HRCT / 胸部X線像 / 免疫組織化学 / PAR / VEGF / 孤立性肺腫瘍 |
Research Abstract |
末梢発生の腺癌の肺胞領域での血管増生は、Folkmanのいうように基本的にはVascular Endothelial Growth Factor(VEGF)とその受容体の顕著な発現に基づくものと思われる。申請者は組織内において癌細胞が血管増生にどのように関与するかを分子病理学的に観察しつつ、肺癌の胸部X線写真でしばしば見られる索状陰影、spiculation(スピクラ)の組織学的に対応する組織反応を検討したいと考えた。抹消発生の肺癌の中でも格好の組織は、一本の毛細血管からなる肺胞壁を選別することで肺胞壁癌細胞と血管との関係が明らかになると考えた。初年度は癌細胞が内皮細胞をどのように活性化して血管新生が誘導されるかについて検討した。一方同じ症例に関して放射線科としてのCT画像を次のような要領で解析し統計学的計測を準備した。 1)HRCT画像のスピクラを腫瘍側と胸膜側由来に分類し、そのサイズ(短径と長さ)、出現数、胸膜や既存の血管との距離や位置関係を計測する。 2)これらのデータのコンピュータソフトを作成し取り込んで統計的処理をする。 3)患者の臨床データ、病理組織診断、術後の予後など患者関連データのコンピュータ入力と統計処理 4)HRCT画像に対応させた組織学的分析(免疫組織染色と電顕標本)を行い、新しい血管形成の有無について分析する。 初年度の共同研究者と実施した血管新生機序については次の分子病理学的結果を得ることが出来た。 1)血液循環系は生理的に吻合しその内皮はトロンボモジュリン、vWfが特徴的分布パターンを示した。 2)肺胞毛細血管内皮はトロンボモジュリンに単独陽性でその他の微小血管群はモザイクーパターンを示した。 3)癌細胞の肺胞壁への進展により内皮細胞はトロンボモジュリンを消失しvWf優位に転換した。 4)同時にprotease-activated receptor(PAR)-1,PAR-2の発現とそのligand誘導に重要なトロンビン、トリプシンなどのserine proteaseの発現に関しての検討 以上の結果、肺胞壁毛細血管の新生には、内皮細胞のトロンボモジュリンの消失、PAR発現が重要で、その後さらに血中トロンビンと癌細胞由来のトリプシンが内皮細胞の増生を促すことが分かった。最終的にVEGFとこれらの反応は内皮細胞の増生に相乗作用をもたらすと見なせた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jin E, Fujiwara M, Xin P, Kajiwara K, Ghazizadeh M, Arai S, et al.: "Protease-activated receptor-1 participate in the cell growth of alveolar capillary endothelium in primary lung adenocarcinoma"Cancer. 97・3. 703-713 (2003)
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[Publications] Jin E, Ghazizadeh M, Fujuwara M, Nagashima M, Arai S, et al.: "Angiogenesis and phenotypic alteration of alveolar capillary endothelium in areas of neoplastic cell spread in primary lung adenocarcinoma"Pathology International. 51・9. 691-700 (2001)